第一夜 王様の心臓~リア王より~
2007年4月6日放送
年商30億円を誇る中堅スーパー『ハジメ屋』の社長・刈谷一(西田敏行)は、自分がオーナーで創業者だったこともあり、銀行から引き抜いた専務の黒田数男(佐野史郎)に強引な経営方針を押し付けていた。その一が、ある日、車の中で突然胸の痛みを訴え、病院に担ぎ込まれた。
20年間付き添い運転手をしている剣持高夫(長門裕之)の連絡で病院に駆けつけて来たのは、一の出資でこじゃれたレストランを経営している長女のゆり(若村麻由美)、歯科医・今野繁(吹越満)の妻として優雅な主婦生活を送っている次女・あやめ(中島知子)、大学を中退して劇団に入り演出家を夢見ながら大道具係をしている三女・さくら(井上真央)の3人の娘たち。医師から狭心症と診断され、60歳ながら引退を勧められた一は、退院後、娘たちにある提案をした。
15歳の時から働き始めて3人の娘を育て上げ、十数年前、愛妻の花枝(坂口良子)を亡くしたものの10店舗目を計画するまでになった一。そんな男が、人生のラストステージを穏やかに過そうと考えた内容は、3人の娘の誰かと一緒に暮らすということ。ゆりとあやめは拒絶反応を示すが、一がその相手には“自分の全てを託す”と約束したことからコロリと態度を一変。これに対し、さくらだけは、劇団での状況を明かし、一緒には住めないと答えた。
自宅で静養しながら黒田に様々な指示を出す一は、まもなく、一緒に暮らしてくれるというゆりとあやめの家に、試しに泊まりにいってみた。
高級マンションンで暮らすゆりの生活は、男の影がちらつく荒んだ雰囲気が漂っていた。最近ゆりから連絡のない店の収支報告書を偶然見つけ、それが赤字だらけだと気付いた一は、ア然。だが、経営姿勢の甘さ、傲慢な態度、異性関係のだらしなさなどを指摘されたゆりは、逆ギレした。態度を豹変させて遊びに出かけるゆりを見送った一は、甘やかして育てたことを反省しつつも、怒りを隠せなかった。
次に、あやめの家に行った一は、2人の小学生の孫に迎えられてご満悦だった。仕事を終えて戻った夫の繁も笑顔で一を接待する。その夜、2人の孫と子供部屋で寝た一は、狭いながら娘たち、そして、花枝と暮らしていた昔の頃を思い出した。ところが、夜、ふと目を覚ますと、あやめら4人の声が聞こえる。耳を澄ませてその声を聞いた一は、あやめらはもちろん孫たちまでが、自分の財産目当てだったと気付き、ガックリと肩を落とした。
翌日、あやめの家を出た一が向かった先は、『リア王』の準備で忙しいさくらの所ではなく、会社。だが、会議室に入った一は、すぐに自分が休養中に起きていた衝撃の事実に気付いた。なんと黒田は、一がゆりのレストランなどで会社を私物化したとして、クーデターを起こしたのだ。相談役になるよう半ば強制された一は、失脚したことを悟り、会社を飛び出した。
剣持から連絡を受けたさくらは、明日が公演の初日にもかかわらず、ボーイフレンドの金井(福士誠治)と一緒に、一の行方を捜した。そんなさくらが一を見つけた場所は、汗と涙の思い出がギッシリと詰まった『ハジメ屋』の1号店。金井は、さくらに対する感謝の気持ちを憮然とした表情で返す一を見て、『リア王』のチケットをプレゼントした。
翌日、満席となった劇場の一角に、ゆり、あやめと並んで座った一は、やがて始まった『リア王』の芝居に次第にのめり込んで―