【アジア予選 激闘の歴史⑥】ロシアW杯予選 「W杯出場確率0%」から手にしたロシア切符
2018年ロシアW杯での日本代表の躍進。前評判を覆し見事にグループステージを突破、そして決勝トーナメント1回戦では、その後3位になった強豪ベルギーと歴史に残る死闘を演じたことで、世界での日本の評価は一気に高まった。
だが、その舞台にたどり着くためのアジア最終予選は、波乱のスタートだった。
1998年フランスW杯から続く、6大会連続のワールドカップ出場を目指した日本代表。アジア最終予選ではUAE、タイ、イラク、オーストラリア、サウジアラビアと同じグループBに入った。
2016年9月1日、初戦のUAE戦の会場は満員の埼玉スタジアム2〇〇2。DF長友佑都をケガで欠いたものの、MF本田圭佑、MF香川真司らがスタメンに名を連ね、知将ハリルホジッチ監督率いる日本代表の勝利を誰もが疑わなかった。
試合は前半11分、MF清武弘嗣のFKを本田がヘディングで叩き込み、日本代表が幸先よく先制。しかし前半20分、UAEにFKを直接決められると、後半9分、この試合が代表デビュー戦となったMF大島僚太がPKを与えてしまう。これを決められて逆転され、その後の猛攻も実らず、大事な初戦を落としまさかの黒星スタートとなった。
現行の予選方式となったフランスW杯予選以降、過去5大会のアジア最終予選で初戦が黒星だったチームはすべて予選敗退に終わっていたため、「W杯出場確率0%」と騒がれた。
だが、これまで数々の経験を積んできた日本代表は、そのショックを引きずることなく、5日後の9月6日、2戦目のタイをアウェーで下すと、翌月、ホームでのイラク戦では、MF山口蛍がアディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを決め、連勝を飾った。
続く第4戦、アウェーでのオーストラリア戦。守備を固めた日本は、カウンターからMF原口元気が最終予選3戦連続となるゴールを決めるも、その原口が与えてしまったPKを決められ1-1のドロー。
しかし、徐々に調子を上げてきた日本代表は、11月のサウジアラビア戦から3連勝。原口の日本新記録となるアジア最終予選4試合連続ゴール、FW久保裕也がゴールとアシストを量産するなど、新たな戦力の明るい話題も生みながら勝ち点を積み重ね、気が付けばグループBの首位に立っていた。
2017年8月31日、迎えたホーム埼玉スタジアム2〇〇2でのオーストラリア戦。勝てばワールドカップ出場が決まる大一番。日本代表はアウェーでの戦いとは違い、FW浅野拓磨のスピードを生かして積極的に仕掛ける。すると前半41分、左サイドでボールを持った長友のクロスに浅野が左足で合わせ、日本が先制点を奪う。
後半、オーストラリアの攻撃を凌ぎながら、左サイドに入ったMF乾貴士を中心としたカウンターでチャンスをうかがう日本。すると、後半37分、その乾に代わって入った原口が中盤でプレスをかけボールを奪い、倒れながらもパスを繋ぐ。それを受けた当時21歳のMF井手口陽介がドリブルで持ち込むと、ペナルティエリアの外から見事なミドルシュートを突き刺した。
これまでのアジア予選を通じて初めて、オーストラリアから勝利を挙げた日本。初戦での思わぬ躓きから、新戦力の台頭を力に代えて、1試合を残して6大会連続となるワールドカップへの切符を手にした。