外資系の銀行でディーラーをやっている佐藤幸太郎(船越英一郎)と職場結婚した由美(よしみ 松田聖子)は、お腹の二世誕生を心待ちにしていた。幸太郎の父で大工の棟梁をしている健造(蟹江敬三)は、出産に合わせるように新居を建築中。新卒で入社して11年目、バリバリのキャリアウーマンの由美は、今、人生の節目にさしかかっていた。
まもなく産まれた子供は、少し小さめで、体重2414グラムの男の子。だが、保育器から出てきた5日目、医師は、由美と幸太郎に、思わぬ所見を伝えた。「ダウン症の疑いがあります」――。
ワケが分からぬまま子供に秋雪(杉森翼・後藤響・辻智基)と命名した2人は、すぐさま医療センターで精密検査。その結果、由美らは驚愕の宣告を受けた。秋雪は、染色体に異常があるダウン症で、心臓の先天的な欠陥とそれによる肺の疾患のため、余命は一年だというのだ。
放心状態になりながらも自宅に戻った由美は、検査の結果を幸太郎に報告。その時から、2人の戦いの日々が始まった。医師の話によると、秋雪の育児に関しては、薬の与え方、抱き方、あやし方、部屋の室温、授乳の方法など全てにわたって細心の注意が必要なのだ。
家に手すりを作った健造は、幸太郎が生まれた後、すぐに妻を亡くし男手一つで育てたこともあり、現実を受け入れて、目の前の秋雪を可愛がるようアドバイスする。その言葉に応えるように、由美は休暇を利用して育児に奮闘。秋雪が1歳の誕生日を迎えて程なく、由美は、会社に復帰せずに辞表を提出した。由美を失うのが惜しい上司の部長・田丸(小日向文世)は、退職を思い留まるよう説得をしてほしい、と幸太郎に頼み込む。もちろん、そんなことで由美の決意は変わるはずがなかった。
余命1年といわれた秋雪が2歳になる頃、由美は、友達を作ってあげようと、ダウン症の子供も通っているという『つくしの学園』を見学に行った。しかし、まだ立つことすら出来ない秋雪は、ただジッとしているだけ。山に連れて行ったのが原因でインフルエンザにかかり、死の淵をさまよった秋雪は、とても保育園に通える状態ではなかった。幸太郎は、休暇を取りすぎて田丸にイヤミを言われながらも、健造と庭にガーデンルームを造るなどして一生懸命。その甲斐あって、秋雪は手すりに掴まりながらも、一人で立てるようになった。
由美は幸太郎を説得して、秋雪を『つくしの学園』の保育園に連れて行った。納得するまで遊びに来てください、という園長の天野(谷啓)。そんな天野をはじめ、教諭の田島(松嶋尚美)らはみんな明るく、付き添いの母親たちも笑顔が絶えない。自由参観で、朋(望月健太郎)というダウン症の子供がいる吉岡博美(戸田恵子)と仲良くなった由美は、子供たちが天性の感受性と表現力を持っていることを教えられて目からウロコが落ちた思い。
そんな中、幸太郎は、由美から田丸についてあることを聞く。実は、田丸の娘は難病で、現在アメリカで治療中。幸太郎から富と出世欲しかないと思われていた田丸は、娘の高額な治療費を稼ぐために必死で戦っていたのだ。
春になり、4歳の秋雪は、一人で保育園に行けるようになった。健造は、一人で歩くための練習用にと、子供部屋に平行棒を作る。吉岡の話によると、ダウン症で40、50歳の人もおり、社会で立派に働いている人もいるという。力付けられた由美は、さっそく担当医に話すが、奇跡が重なっても10歳を越すことはないと、冷徹に言い切られてしまう。ショックを受けた由美は、秋雪を海に連れて行き、入水自殺も考えた。
娘が死んだという田丸が突然辞表を提出したのは、その頃。幸太郎は、生き甲斐を無くした田丸が仕事に意味を見つけられなくなった、と察した。
平行棒を使って歩けるようになった秋雪が、なんと学校の運動会に出ることになったのは、それからまもなくのことであった―――。