このたび、アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.のワシントン・ナショナル・ギャラリーより、
印象派とポスト印象派の傑作を紹介する「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」を開催する運びとなりました。
12世紀から現代までの世界有数の西洋美術コレクションで知られるこの美術館は、一人の男の壮大な夢と情熱で創設されました。
その男の名はアンドリュー・メロン。19世紀末から20世紀にかけて銀行家、実業家としてアメリカ屈指の財を築き、1890年代末にはジョン・ロックフェラー、ヘンリー・フォードらと並んでアメリカ合衆国を代表する大富豪となった人物です。
合衆国財務長官、イギリス大使を歴任した彼は、美術品の収集に関心をもち、いつしか自国の首都にふさわしい美術館を創る夢を抱きます。そして自らの審美眼と財で集めた絵画約130点を含むおよそ150点にのぼるコレクションと、美術館設立のための資金を連邦政府に寄贈したのです。
こうして1941年に完成した西館は当時世界最大の大理石造りの建造物であり、まさに老実業家の夢の結晶でもありました。
その後も氏の志に賛同する人々が作品の寄贈を続け、今日に至るまで同館の所蔵品約12万点はすべて一般市民による国への寄贈で成り立っています。寄贈は美術品そのものであったり、美術品を購入するための資金であったりしますが、それはまさに、「アメリカ市民が創った奇跡のコレクション」と言えるでしょう。
本展では、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品の中でも特に質が高いことで知られる印象派とポスト印象派の作品から、日本初公開作品約50点を含む全83点を展示します。出品作品の約半数は、創設者アンドリュー・メロンの遺志を受け継いだ娘のエルサ・メロン・ブルースと、息子ポール・メロンのコレクションに帰属するもので、同美術館の心臓部ともいえるこれらの作品が、これほどの点数でまとまって館を離れるのは極めて稀なことです。
一人の実業家のロマンと憧れ、そしてその精神を受け継ぐ美の殿堂。アメリカの首都が誇る珠玉のコレクションを、どうぞご堪能ください。
主催者