第1話
プチ家出をしている間に家族に蒸発されて一人ぼっちになった下塚登子(田畑智子)は、青空市で自分の時計が売られていることに気付き、思わずその責任者・源氏雅彦(中村雅俊)に詰め寄った。仕入れ先は明かせないという源氏の仲間は、赤根杏子(瀬戸朝香)、唐松安男(生瀬勝久)、千石博之(安居剣一郎)の3人。
説明を聞くため源氏らのリサイクルショップ『ライジングサン』を訪ねた登子は、そこで妙な情景を見てア然。夜目を鍛えるためか、真っ暗闇の中で食事をしている源氏ら4人。空っぽになっていた自宅に、“夜逃げ証明書”という張り紙があったことを思い出した登子は、源氏らに犯罪の臭いを感じる。そんな様子を見た源氏は、登子に「ここで働いてみるか」と声を掛けた――。
深夜、黒装束に身を包んだ源氏らが訪ねた先は、借金の取り立て屋に昼夜となく監視されている『珍珍』という餃子屋。“夜逃げ屋本舗”を名乗る源氏らは、実はリサイクルショップを経営する裏で、借金苦で死ぬ思いをしている人たちを奈落の底から救い上げるプロの逃がし屋をしていたのだ。『珍珍』での作業は、僅か40分ほどで終了。店の経営者・竹内夫婦(阿南健治・濱田マリ)と2人の子供を保護した源氏らは、“夜逃げ証明書”を張り、早々に現場を撤収した。
この様子を目の当たりにした登子は、ようやく両親が借金から逃れるために、源氏らの手を借りて夜逃げをしていたことに気付いた。置き去りにされたことで寂しさを実感する登子。自分も源氏らの仲間になると宣言した登子は、源氏らのグループの一員として活動を開始した。
その源氏らが新たなターゲットとしたのは、河合和雄(金田明夫)という男だった。妻・久美子(宮崎美子)、一人息子・尚人(稲森和久)と三人暮らしの和雄は、会社をリストラされたことを家族に言えずに毎月サラ金から借金。久美子は夫のリストラに気付くが、今度は生活を守るために自分が借金。この結果、8年前に購入した家は、住宅金融公庫に差し押さえられて、競売が決定。河合自身も、元暴力団の企業『湯島ファイナンス』から厳しい取立てを受けていたのだ。
まもなく、赤根や唐松の調査で、『湯島ファイナンス』の幹部・夏目(篠井英介)が、抵当物件に居座ってあくどい利益を上げていることが判明。夏目が差し押さえが決定した河合の家に目を付けていると知った源氏らは、夫婦に接触し夜逃げを勧めて――。
第2話
『ライジングサン』に、金貸しらしい男たちと一緒にやってきた関川時子(市川実和子)という女が、持参したブランド品を売らされ、手にした金を巻き上げられた。時子はよほど金に困っているらしく、男たちが姿を消した後、隠し持っていた宝石類を売りさばく。
不審に思った源氏らが調査をした結果、借金まみれの時子の半生が明らかになった。時子は短大卒業後OL勤めをしたが、両親から財産の生前贈与を受けてスナックを開業。だが、無類のブランド品好きとホストクラブ通いがこうじ、3ヶ月後に一度自己破産。親からも見離され、再び多重債務者になった時子は、26歳の現在、新宿でクラブホステスをしていたのだ。
時子に付いてきた男は、暴力団系のヤミ金融の幹部・蛇田清秀(斉藤洋介)とその子分の清水一郎(おのまさし)。日賦〈一日ごとに金利が発生する貸し付け法。借り手は日銭が入る商売の人が多い〉をメーンに荒稼ぎをしている蛇田らは、借金まみれの女を海外に売り飛ばすこともしているらしい。時子が蛇田らの手に落ちるのが時間の問題と見た源氏らは、さっそく夜逃げを勧め、調査のためその自宅を訪ねた。
なぜか高温多湿の部屋に入った源氏らは、すぐにその原因に気付いた。なんと時子は、ケンシロウという名前の巨大なワニのペットを飼っていたのだ。源氏は、夜逃げの後のことを考えて、ケンシロウを処分するよう説得した。だが、ケンシロウと生活を始めてからブランド品狂いも治ったという時子は、夜逃げにケンシロウも連れて行くと譲らない。源氏は仕方なくケンシロウも一緒に夜逃げをさせることを決意し、その計画を練り始めた。
蛇田らがマンションの正面エントランスの付近でいつも見張りをしているため、脱出口はゴミ置き場のある裏手。檻の大きさの関係で、源氏らは、時子の部屋の入り口で一度ケンシロウを檻から出し、エサでつって廊下を移動させることになったのだが――。
第3話
『ライジングサン』にガラクタを持ち込んで買い取りを断られた老婦人が、突然胸を押さえて倒れ込んだ。慌てた源氏らが、その老婦人・坂上弥生(淡路恵子)を自宅に連れて行ったところ、思わぬ生活ぶりが明らかになった。
弥生は、自宅で杉田寿子(草村礼子)、金森ミヨ(正司照枝)という年の似かよった2人と暮らし。寿子とミヨが自分と同じように夫を亡くしたと知った弥生は、2人に家に来てもらい、協力し、励ましあいながら生活していたのだ。
ところが、最近、この弥生の家に猫田ファイナンスの猫田(秋野太作)という借金取りがやってくるようになった。実は、ミヨが20年前に1万円を借金。これが雪だるま式に膨れ上がり、なんと1億1500万円にもなってしまった。普通、20年前の借金なら時効になるのだが、狡猾な猫田は1000円だけ返金させた。この1000円を返したことで、ミヨは借金と膨大な延滞金を認めたことになった、つまり時効が消えてしまったのだ。
そんな中、源氏らは、猫田の狙いが弥生の土地と建物だと気付いた。弥生らは、現在、年金暮らし。猫田らは、この年金さえ取り上げようと狙う。ミヨの借金を弥生が払う必要はないのだが、猫田らは、弥生がミヨ、寿子と家族同然に生活していると知り、3人の心の弱みを突いてきたのだ。
弥生らの状況を考えると、自殺する恐れや身売りされる心配はない。だが、猫田のバックに、政界や闇社会にも顔が効くとの噂がある金主・白鳥麗子(鰐淵晴子)が控えていると知った源氏らは、弥生らが危険にさらされる可能性が大きいとにらむ。
まもなく、ミヨがみんなに迷惑を掛けまいと家出をして、猫田らに捕まった。源氏らは、猫田の事務所に乗り込んでミヨを救出。すぐに、弥生に、家と土地を売って夜逃げをし、別の場所で3人仲良く暮らしてはどうか、と勧めて――。
第4話
源氏らがギャンブルで多額の借金を作ったサラリーマン・宇佐美裕介(新井浩文)の夜逃げの作業を開始。ところが、いないと思われていた宇佐美の連帯保証人が現れたことから、夜逃げは急きょ中止となった。その保証人というのは、宇佐美の恋人で美容院に勤めている宮崎晴香(西田尚美)。借金は必ず返すものだと考えている晴香は、悪徳サラ金の実態を知らなかったこともあり、宇佐美に夜逃げをそそのかしたと逆に源氏や赤根らに食ってかかった。
まもなく、宇佐美の退職金や社内預金を押さえた悪徳サラ金社長の馬場(國村隼)は、ついに晴香に手を伸ばした。馬場から、宇佐美の借金が1400万円だと告げられた晴香は、血の滲むような思いをして貯めた虎の子の400万円をアッサリ巻き上げられて声も無い。
晴香にターゲットを定めた馬場は、さらなる攻勢をかけた。イヤガラセをして晴香から美容院の仕事を奪った馬場は、借金返済のためソープランドで働くよう持ちかけたのだ。晴香は仕方なく同意するが、潔癖さが幸いして、客を取らせられる前にクビ。これを知って怒り狂った馬場は、最後の手段として、宇佐美に生命保険を掛けて、自殺するよう仕向けた。晴香がソープ嬢にまで落ちたことを聞かされた宇佐美は、ついに自殺を決意し、遺書を書いて川へと向かう。そして、橋の欄干に上った。
2人の様子をずっと見守っていた源氏らは、まもなく、晴香からの連絡で慌ててその部屋に駆けつけた。自殺しようとした宇佐美は、橋の欄干に上ったものの足を滑らせて、川の方ではなく、反対の橋の上に転落したようなのだ。頭に包帯を巻いて横たわる宇佐美のそばで遺書を読んだ晴香は、源氏らの勧めで、ついに一緒に夜逃げをする決意を固める。
だが、夜逃げの当日、悪徳サラ金会社に顔を出した宇佐美は、偶然そこに押し入ったもののおじけづいて逃げ出した強盗から、持っていた出刃包丁を手渡されてしまい――。
第5話
とある多重債務者の様子を見ていた源氏らが、豊川金融の社長・豊川良一(近藤芳正)と顔見知りになった。豊川は、夜逃げをした債務者のことまで心配する人のいい人物で、気が弱いため債権の回収も下手。客にナメられっぱなしの豊川を見るに見かねた源氏は、研修生という名目で、赤根と登子を豊川金融に派遣することを決めた。
豊川金融は商店主などを相手にした小さな街金で、給料未払いで一人いた社員に辞められたため、現在社員は豊川と妻・真理(河合美智子)の2人だけ。借金の回収には唐松(生瀬勝久)も手を貸すが、豊川には、元々金融業をやる素質がないようであった。
まもなく、豊川の店舗を兼ねた自宅が銀行の抵当に入り、その返済や運転資金で、豊川が同業者にまで借金をしていることが分かった。赤根の調査によると、豊川金融の貸し付け残高は2億円強。その中で、不良債権と見られるのは約30パーセントで、残りの70パーセントは全てその気になれば回収できるものばかり。
債権が借金のカタにタチの悪いサラ金・大福ローンの社長・蛭田(梅垣義明)に渡ったと知った源氏らは、豊川金融の先行きを危ぶむ。
程なく、蛭田が豊川金融の債権を回収した結果、債務者の一人が自殺に追い込まれた。真理が自分一人の判断で蛭田に債権を渡したと知った豊川は、慌てて大福ローンに向かう。豊川について大福ローンに行った源氏らは、蛭田が債権回収の手続きを踏まなかったと抗議するが、後の祭りであった。
残りの債権も明日になれば蛭田の自由になる――お客が苦しむ姿をこれ以上見たくない豊川と真理は、困り果てた。そんな二人に、源氏は初めて夜逃げを勧めた。源氏の作戦は、蛭田が豊川金融から違法に横取りした債権証書の回収と豊川夫妻の夜逃げ。その夜、大福ローンに侵入した源氏らは、セキュリティーシステムで守られた社長室の金庫に向かって――。
第6話
赤根が朝の通勤時に磯辺学(苫篠和馬)という5歳の少年とぶつかったことから、『ニコニコスクール』という託児所の存在を知った。神崎幸夫(袴田吉彦)という男が一人で切り盛りしているこの託児所は、働く女性たちの子供を預かっており、子供は乳幼児がほとんど。父親と2人暮しで、その父親が工事現場で働いている学だけは、長期預かりということで神崎と一緒に暮らしている。
ところが、『ニコニコスクール』に現れた目つきの悪い男たちの話から、神崎がサラ金から借金をしていることが分かった。事情を知った赤根は、店に並んでいたベビーベッドやおもちゃを『ニコニコスクール』に持ち込んで肩入れするが、神崎の借金はかなりの額らしい。唐松(生瀬勝久)の話から、神崎の元に押しかけた男たちが風俗店を何軒も経営する曽我興業系列の悪徳サラ金だと知った赤根は、ア然となった。
まもなく、サラ金の社長・曽我と何事か話し合った神崎が、急に赤根を避けるようになった。神崎は、赤根に「問題は解決したので、そっとしておいてほしい」と告げるが、その言葉とは裏腹に事態はかなり深刻らしい。そして、翌日、赤根の心配は現実のものになった。神崎は、それまで預かっていた子供たちに全て辞めてもらい、なぜか新たにマイクロバスで運ばれてきた20人程の母親の子供たちの世話を始めたのだ。
母親たちが再びバスに乗り込んで帰る中、神崎を問い詰めた赤根は、思わぬ事実を知った。実は、桜庭は、借金で苦しんでいる母親たちを自分が経営する風俗店でタダ同然で働かせ、その子供たちを人質代わりに神崎の託児所で預かるシステムを作ったのだ。
このままでは、母親たちはもちろん神崎も地獄から抜け出せないと見た源氏(中村雅俊)は、20人の母親と子供たち、そして、神崎らの集団夜逃げを計画。やがて、全員の同意を取り付けた源氏らは、周到な準備の下、40人を超える大夜逃げ作戦を決行して――。
第7話
源氏らが夜逃げの時、偶然通りかかった超美人の岸本直美(新山千春)が貧血で失神。放って置けない源氏は、直美を店に運んで介抱。翌朝、意識を取り戻した直美が夜逃げの作業を全く覚えていないと知った源氏らは、ほっと胸をなで下ろした。
その直美が、まもなくブランド品の複数の同じバッグを持って、店に売りにやってきた。赤根(瀬戸朝香)の解説によると、同じバッグを何人かの男にねだり、一個を残して全て売り払うのは美人の常套手段とのこと。だが、その様子がおかしいと感じて周辺を調べた源氏らは、直美がヤミ金の『亀田金融』から1000万円を超える金を借りていることを突き止めた。
直美に一目惚れの千石(安居剣一郎)は、友達の連帯保証人にでもされたに違いない、と肩を持つ。だが、さらに調査を進めた源氏らは、直美の驚くべき事実を知った。直美の借金の理由は、なんと頭のてっぺんから足の先まで行った1000万円を超える美容整形代だったのだ。亀田金融が悪徳ヤミ金だったため、借金は元利合計で3000万円にも膨らんでしまったらしい。
OLの直美は、写真館をやっている父・岸本治(清水章吾)、母・幸子(角替和枝)の三人家族。亀田金融社長の亀田(村野武範)は、岸本の家を訪ねて、直美の借金の肩代わりをするよう迫る。成人の直美が作った借金を岸本や幸子が肩代わりする法的義務はない。だが、亀田は、直美には風俗店で働いてもらうことになる、と岸本や幸子に脅しをかけ、写真館の売買契約書に判を押すよう迫った。
岸本は、元々、直美の美容整形には批判的だった。だが、娘の一大事を見過ごすことが出来ない岸本は、ついに店の売却を決意する。そんな両親の思いを、捺印してある店の売買契約書を見つけて初めて知った直美は、深く反省。すぐにその契約書を握りつぶした直美は、ふと夜逃げ屋をしている源氏らの姿を思い出した。
さっそく、源氏を訪ねた直美は、両親に気付かれないように夜逃げをしたい、と頼み込んで――。
第8話
『ライジングサン』では、今夜決行される“作戦”の最終確認が行なわれた。夜逃げをするのは、小さな電器店を営む古柴義正(山崎一)、妻・朋子(中島ひろ子)、娘・史華(奥田佳菜子)、息子・大介(山田賢太郎)の一家4人。借金をしたヤミ金にマグロ漁船に乗る約束をさせられた古柴は、ついに夜逃げを決意した。その日、さらに借金の上乗せをした古柴は、絶対に後戻りできない状況にあった。
ところが、源氏らと話をしていた古柴が、突然腹痛を訴えて救急病院に担ぎ込まれた。診断によると、古柴は急性盲腸炎で、約1週間の入院が必要。源氏らは、慌てて計画の見直しを開始。その時がくるまで、決して作戦を口外しないよう古柴やその家族に伝えた。
だが、古柴の入院で動いたのは、ヤミ金『ドラゴンファイナンス』側も同じだった。借金上乗せの際の古柴と朋子の様子に疑問を抱いた社長の鹿間(石原良純)は、部下の窪田(長岡尚彦)らに見張りの強化を命じたのだ。そして、病院に押しかけた鹿間は、退院の日に漁船直行の車で迎えに行く、と圧力をかけた。
気の小さい古柴は、この脅しに震え上がり「殺される!」とか「夜逃げ!」という言葉を口走る。これを聞いた鹿間は、古柴が夜逃げをする可能性が強いとみて、四六時中、病室の前での監視を始めた。
一刻の猶予もないとみた源氏は、監視の厳しい夜間ではなく、相手が気を許す昼間を狙って夜逃げならぬ“昼逃げ”をさせようと決意。退院の日を考えると、残された日は、明日のワンチャンスしかなかった。
源氏は、朋子と子供たちを逃がす唐松(生瀬勝久)と二手に分かれて作戦を開始。医師と看護師、そして、クリーニング屋に変装した源氏、赤根(瀬戸朝香)、登子(田畑智子)の3人は、古柴の病室に向かった。
第9話
住宅地にあるパン屋『長坂ベーカリー』の常連になっている登子は、ある日、店のレジから金を抜いている須藤光子(渡辺えり子)という女の話から、店が多額の借金を抱えていると知った。この店は、山中薫(金子貴俊)と優子(吹石一恵)という若い夫婦の経営。光子がサラ金かヤミ金の取り立て人だとにらんだ登子は猛抗議。だが、光子は、警察を呼ぶという登子に対し、ニヤリと笑って開き直る。
登子は、すぐに店に戻って源氏に報告。2人は、直ちに薫らの店に取って返した。店の奥では、薫と優子が光子ともう一人の男に土下座をしている最中で、源氏は慌てて両者の間に割って入る。だが、源氏は、その直後、光子らの話から思わぬことに気付いた。実は、光子は、薫と優子の親戚だったのだ。
薫らの話によると、互いにパン作りを勉強していて知り合い結婚した2人は、店を持とうと思い立ち、開店資金の不足分300万円ほどを亡母の弟・須藤孝夫(大河内浩)から借りた。ところが、パンの売上げが思ったより伸びずに返済が滞って、借金は元利合計で600万円にも膨らんでしまった。これに怒った孝夫の妻・光子は、交わしてあった借用書をたてに、実の兄・小林雄三(飯島大介)の協力で取り立てを始めたようなのだ。
薫が光子の指示で道路工事のバイトを始める中、源氏は優子に店をいったん閉じ、厨房器具などを売却し借金を圧縮するようアドバイス。だが、夢をあきらめきれない優子は、首をタテに振らない。そんな優子の思いとは裏腹に、光子は、店の器具はもちろん家財に至るまで売り払う、と言い始めた。
『長坂ベーカリー』という名前が、借金で家出をした優子の父親がやっていたパン屋の名前だと知った源氏は、その父親の二の舞にならないためにも、と2人に夜逃げを勧める。そして、2人がこれに同意したことから、源氏らは夜逃げの準備を開始。しかし、薫と優子が夜逃げをするかもしれないとにらんだ光子らは、監視を強めた。
これを知った源氏は、あっと驚く、取っておきの夜逃げ作戦を実行に移して――。
第10話
中年の男が借金取りと思しき少年とその仲間に追い込まれていると知った源氏らは、すぐに調査を始めた。男は、宮島健作(山田辰夫)という女子高の教師。少年たちが宮島の家の中まで入り込み暴れていると気付いた源氏は、慌てて止めに入った。
ところが、警察に通報すると告げた源氏に、意外にも宮島と妻の千秋(キムラ緑子)が異を唱えた。なんと仲間たちを連れてやってきていたヤミ金の借金取りは、家出した宮島夫婦の、19歳になる一人息子・宮島友明(塚本高史)だったのだ。宮島は以前、事業に行き詰まった友人の連帯保証人になった。その債権が回り回って友明が働くヤミ金に渡ったらしい。
源氏らは、なぜ一人息子が家出をしヤミ金で働いているのか、と首をかしげた。そんな疑問に、宮島は「これは友明の自分への復讐だ」と重い口を開いた。
2年前、友明の友達が車で交通死亡事故を起こしたことがあった。友明は、その友達を匿いたい一心で家に連れてきたが、やはり罪は償うべきだと考えた宮島は警察に通報。怒った友明は、「アイツは俺を一生恨んで生きていくんだ、そう仕向けたのはお前だ!」と言い残して家出をしてしまったのだ。
宮島家は、宮島が友明の一件で学校を退職せざるをえなくなり、空中分解寸前。『ライジングサン』が少年たちのイヤガラセを受け始める中、何としても宮島親子を仲直りさせたい源氏は、事故を起こした少年が入っている刑務所を訪ねた。
まもなく、千秋が一人で友明を連れ戻しに行ったと知った唐松(生瀬勝久)、赤根(瀬戸朝香)らは、ヤミ金の社長・魚住(石井洋輔)がいるクラブに乗り込んだ。折りしも、クラブ内では、魚住が千秋を脅している最中。唐松らは、言葉巧みに千秋の救出に成功。源氏は、宮島と無事戻ってきた千秋に、夫婦2人だけで夜逃げをするよう勧めた。そして、友明に会った源氏は、思わぬ事実を打ち明けて――。
第11話
源氏の元に、以前、夜逃げをさせた桜庭から借金取りに捕まった、との連絡が入った。話によると、桜庭一家4人を見つけたのは、不良債権の回収を専門にやっている『ジャパン・サルベージ・コーポレーション』の北條政子(国生さゆり)。北條側は、桜庭が20社以上から借りた借金を一本化して返済を迫っていた。借金など返せない桜庭は、結局、山奥の工事現場で、半ば強制労働のように働かされるらしい。
政子の周辺を調べた源氏らは、そのバックに多重債務者救済センター『ビューティフル・ライフ』の看板を出す岩丸氷介(石橋蓮司)がいることを突き止めた。どうやら政子は、岩丸の所に相談に来た多重債務者の情報を元に、債権を一本化したようなのだ。
そんな中、源氏らは、行きつけの喫茶店『カナ―ル』の女主人・橘美江(一色彩子)が岩丸に借金で追い込まれていると知った。美江は、知り合いの連帯保証人になったばかりに、3000万円の借金を背負ってしまったのだ。源氏の正体を知る岩丸は、美江と仲がいいと気付いて思わずニンマリ。実は、以前悪徳サラ金をやっていた岩丸は、夜逃げ屋にやられ続け、業界でもさんざんバカにされた揚句、廃業に追い込まれていた。岩丸は、今こそ、“夜逃げ屋”の源氏に復讐できると考えたのだ。
まもなく、岩丸は、美江に、目に余るようなイヤガラセを始めた。「そろそろだ! 必ず源氏は動く」――余裕の表情の岩丸は、運河に面している『カナ―ル』の全方向に手下を配置、自身は運河に浮かべた釣り舟上で釣り人に変装して、暗視双眼鏡で源氏らの動きを待った。
一方、唐松(生瀬勝久)が何者かに襲われ病院に担ぎ込まれたと知った源氏は、岩丸らが監視しているのを承知で、美江と娘のさやか(嘉門洋子)、そして、桜庭一家の夜逃げを決行しようと決めて――。
果たして、源氏らが取った驚くべき最後の作戦とは!?
緊張と興奮、そして、感動の最終回!!