DASH島 ~新プロジェクト・島の食材で献上品作れるか?~
2か月前、9月下旬の海。シンタローが食料調達に向かったのは、島の南側。高さ5m以上の岩がゴロゴロ転がる砂地の海底、水深3m。そんな岩の隙間に「アカウニ、ゲット!」
漁獲量が少なく、1箱2万円以上の値がつくこともある、別名・幻のウニ。
さらに、その近くには「サザエでかい!」これまで見かけた物の中でも、最大級の大物。
そして、水深5mで見つけたのが「でけえ!手のひらサイズのアカウニ」アカウニは1年で最大2cm成長するが、初めて目にする、全長15cmのバカデカサイズ。
早速、先輩へ報告すると、松岡「ウニ、このわた、からすみは昔、徳川に献上されてた。島でとれるやつも、DASH島産として作って、素晴らしい人たちに食べてもらいたい」
DASH島は、高級食材の宝庫。自分たちで食べるだけでなく、日本各地に伝わる加工の知恵を借りれば、かつては大名や将軍にも献上された、一級の名産品を生み出せるはず!
その第一歩、「福井・越前の“塩うに"を島で作れないかな?」塩の力で水分を抜くことで、旨味を凝縮し、半年以上保存も可能になる高級珍味。
その希少性と美味さから、からすみ・このわたと並び、“日本三大珍味"と称され、ブランドものは、およそ60gで5万円超えの超高級品。
その作り方を学ぶべく、松岡が向かったのは福井県越廼地区。かつて江戸に献上された三大珍味・越前塩うにの名産地。県内には、10軒以上の塩ウニ製造会社が集まる。
待ち合わせていたのは塩ウニづくり60年、東本繁夫さん、前阪律子さん。北海道のエゾバフンウニに比べ、福井のバフンウニは500円玉サイズと小ぶり。だが、その中身は「身の色が濃いですね」
江戸時代、戦のため持ち運べる食料をとウニを塩で保存する方法が、福井藩の商人によって考案され、大名や将軍家への贈り物に。その価値、塩うに400gで米60kgと同じとされた。
その製法は、一帯の漁師や海女に代々語り継がれてきたが、海水温の上昇が原因か、年々バフンウニの漁獲量は減少し、現在一度の漁で獲れるのは、わずか3kg。
ならば、その作り方を是非とも学びたい!まずは、中身を取り出すための殻割り。使うのは、バフンウニの殻割り専用の手作り道具・押し切り。
ウニの端を水平に切り落とし、中の身を筆で一つずつ丁寧に取り出す。「筆でやれば指も切れないし、身も潰れない」
これではまだ内臓や海藻などが混ざった状態。そこで、細かな不純物を海水で洗い取る。身のきれいさが品質につながる。
そして、穴の開いたアワビの殻にのせて、日陰で30分風にさらし水気を切る、昔ながらの方法。水分が抜けるのを待つ間、様々な福井の名産を用意してくれていた。
まずは「アカモク」を熱々のご飯にかけていただき、続いての「へしこ」も福井ではご飯のお供に。青魚を塩漬けし、米糠で漬けて熟成させれば、強い塩味とコク深さが生まれる。
そして、ウニの身の水気が抜けたら、最も重要な工程へ。まずござの上に塩を振り、その上にウニの身を均等に置いて、さらに上から塩を。「ウニの量によって塩の量も加減する」
塩を振ることで水気が抜け、旨みが凝縮。この塩梅が味を大きく左右するのだが、「ござ薄いですね」この薄さと網目が、ウニから出る水気を抜くのに最適と言い伝えられている。
さらに、先代から伝わる、もう一つの目安が「ウニ375gに対して塩70g」
これを日陰で一晩。塩の浸透圧で身も色も段々締まっていく。
70gでおよそ2万円の高級珍味の味は、「美味い!磯の香りと、味が濃厚」
その道60年のお二人でも、島で獲れるアカウニでは作ったことがないというが、果たして、DASH島で上質な塩うに作れるか?
まずは、この日も、シンタローが大量のアカウニをゲット。松岡は欠かせない道具・押し切りを手作りでこしらえ、「(押切)もえ」と命名。
アカウニを半分にカットし、身を傷つけないように筆で取り出す。これを海水で洗い、内臓や海藻などを取り除く。「これやんないと品質が変わっちゃう。献上品だからね」
そして、島でも時化のたびに流れ着く、アワビの殻に入れて、水が抜けるのを待つ間、ウニと共に獲れたサザエを使って「青森にサザエの唐揚げがあるらしい」
それは、人口およそ1万人の小さな町で食べられる、油で揚げたシンプルな郷土料理。島の片栗粉と藻塩をつけ、じっくり揚げれば、「うまっ!サザエの食べ方で一番好きかも」
本題のウニは、「水気抜けてますね」これに塩を振って1日置くのだが、「(福井のウニと)水分量が違うから3パターンの塩分比率で作ってみたい」
東本さんがご厚意でくれたお古のござに、島の藻塩で。福井では、塩の目安はバフンウニ100gに対して、およそ18gだったが「塩18gと10g(2分の1)と5g(4分の1)で」
本場でも行われていない大実験。アカウニで塩ウニは作れるのか?後日、その仕上がりを確認すると、「こんな茶色に?」バフンウニのように鮮やかではないが、黄色みがかった色に。
まずは、越前塩うにの塩分比率、4分の1のものから。「超美味い!大成功じゃん」「ウニの風味と塩のバランスがいい」
続いて、2分の1。「これも全然イケてる」「ウニの風味が塩に負けてない」最後に、越前塩うにと同比率。「全部大成功じゃん!」
「米と食べると表情が変わる」と、炊きたての新男米を。「島でこんな美味いもん作れるんすね」
三者三様、どれも塩うにならではの味わいだが、松岡とシンタローがそれぞれ一番美味しいと思った、4分の1と2分の1のものを混ぜ合わせ、「これだ!ウニの風味も塩味も丁度いい」
しかし、本番はここから。「(島外の)他の方にも食べてもらいたいのよ」DASH島の名産も認めてもらうため、大御所に食べてもらいお墨付きを貰わねば!
そこで、松岡、ある大先輩に声をかけた。それは、エンケンこと俳優・遠藤憲一。時代劇常連、数々の映画・ドラマで大名役も演じてきた大御所。
松岡も数々のドラマで共演・尊敬する大先輩。味を見てもらうのにうってつけの相手。しかし、遠藤「うちの奥さん北海道出身で、バフンもムラサキも新鮮なものを食べてきてる」
そんなウニにうるさいエンケンさんに、お墨付きはもらえるのか?いざ、献上!
「うん、美味しい。ウニの元の風味が残ってるのすごいね」エンケンさん完食!無事、お墨付きを頂いた。DASH島の高級食材はまだまだ!献上品、どこまで増やせるか!?