DASH海岸 ~レッドモンスター~
11月の横浜DASH海岸。「これからのシーズン、いいイカがいる」と、海の専門家の木村さん。
そのイカとは、体長は1mを超え、体重は30㎏を超える巨大イカで、黒潮が流れる常夏の光当たらぬ深海に姿を現す、別名「レッドモンスター」。しかもそいつは…「すっごく美味しい食用イカ」
食用イカとしては世界最大級で、高級スーパーでも扱われる美味いモンスターだという。
城島、シンタロー、木村さん、仕掛けづくり名人の大川さんの4人がやって来たのが、横浜から南へ1400kmの「やって来たぞ!沖永良部島!」
鹿児島県にある沖永良部島は、世界遺産・奄美大島や徳之島など、8個の島が連なる奄美群島のひとつ。
170万年ほど前は海の底だったが、長い時間をかけて珊瑚が層のように体積し、その後、地殻変動によって今の沖永良部島の形ができた。
DASHのロケでも色んなモノを食べちゃうシンタローが海水を一口。
「塩っからいですね!神奈川とか東京湾の海水と味が違って甘さがある」
DASH海岸がある横浜の海水は緑がかっているが、沖永良部島沿岸を流れる黒潮は深い濃紺。
黒潮は幅100km、長さ1万kmの大海流で、南国パラオ近辺から始まり沖永良部島、そして東京湾へと続く。
流れの深さは1000mにも及び、海底付近ではリンやミネラルが多く、栄養の動脈とも呼ばれる。
そんな黒潮の最も栄養が多い場所に、今回のターゲットの“レッドモンスター"が。
今回、そのレッドモンスターを捕まえるためにお世話になるのが、島の南にある知名港にいる凄腕レッドモンスターハンターの山元船長。
沖永良部島で生まれ育ち、親子2代でレッドモンスターを追う、島トップクラスのハンター!
「レッドモンスターを釣り上げるぞ!」「おお~!」
出港は10時間後の午前3時。山元船長の船に乗り込み、いざレッドモンスターの潜む南の深海へ!
夜になると街灯もまばらな沖永良部島では、こぼれ落ちそうな星空が毎日のように輝く。
そんなロマンチックな星空を男だけで見上げながら1時間海の上を走っていくと、ポイントへ到着。
「ここに沖永良部海底谷(溝)があって、そこにレッドモンスターが集まる」
沖永良部島沖の水深800mにはお盆状の地形があり、その端には水深2000mまで下る沖永良部海底谷が。
この谷には海底からの深層水に乗って栄養が湧き上がり、その栄養を求めてプランクトンや生き物が集まり、そいつらを追ってレッドモンスターがやって来る。
そのポイントで行う伝統漁が「旗流しという漁」。
元々は、日本海で考案されたマグロやカジキなどの対巨大生物用の伝統漁。
レッドモンスターが潜む、水深500mのポイントに、釣り糸につけた仕掛けを落とし、全長4mの旗竿(はたざお)と呼ばれる目印に、その釣り糸をつけて海に流すことで、波に揺らされ深海の仕掛けが動き、レッドモンスターが食らいつく。
その仕掛けが「いよいよ行きましょう」「手作りのオリジナル仕掛け」
これは、仕掛けづくり名人の大川さんに教わって作った「おっぱい」と呼ばれるイカ専用の仕掛け。
表面は布製で、中にはワタが入っており、まさに赤ちゃんが安心するような弾力がある事からその名前が。
イカは獲物を捕らえる時、触腕と呼ばれる腕を伸ばし、獲物に抱きついて捕まえるため、生き物のように柔らかいおっぱいの抱き心地にいろんなイカがメロメロ。
抱きついたところに、針が刺さる仕組み。
そんな魅惑のおっぱいの、レッドモンスターサイズを作るため、海底で仕掛けの材料を拾い集めて、巨大おっぱいづくり。しかし、男たちがこだわりすぎて、費やしたロケはなんと4日間!
その中で貴重生物ともたくさん出会ったが、その様子は後日改めて放送!
こうして出来上がったのが、城島作「エギ3兄弟」、シンタロー作「金ぱい」、桝作「ピンキースレイヤーズ」、木村さん作「ぽっちゃり~ず」、大川さん作「リターンズブルー」とそれぞれ命名された、渾身の巨大おっぱい!
この巨大おっぱいを500mの釣り糸に取り付け、レッドモンスターが潜む水深500mへ。
船を走らせながら、次々とおっぱいを投入。さらに、水中ライトをつけて、おっぱいを光らせてアピール。
15分かけて全ての糸を出し、最後に旗を投入。「頼むぞ!エギ3兄弟!」
旗流し漁は、潮に乗って自由に仕掛けを流れさせる漁だが、無闇に放り投げているわけではなく、「レッドモンスターには、昼に集まる場所がある」
レッドモンスターは、夜の間は散り散りになっているが、日が登るころには深場の1箇所に集まってくる。
そこが、船長曰くレッドモンスターポイント。山元船長は風・潮流・うねりの全てを計算し、レッドモンスターポイントに、怪物が一番集まってくる午前8時ごろに到着するように投げている。
続けて、シンタローの「金ぱい」、桝の「ピンキースレイヤーズ」、木村さんの「ぽっちゃり~ず」、大川さんの「リターンズブルー」を続けて海へと流し、「あとは待つのみってことですね」
ここからは、レッドモンスターポイントに、手作りの仕掛けたちが流れていくのを待つのみ。
それまで、エンジンを止め、海流に流されながら就寝。その1時間後の午前6時半に起床。
引き上げの8時までの残り40分。山元船長のルーティーンが「朝ごはんを釣って食べましょう」
イワシをエサに、城島とシンタローが釣り上げたのは、「初ガツオ!2023年OA初ガツオ!」
カツオといえば、三浦半島の海の仲間、小菅船長と共に追い続けているが、5年間追い続け、まだ一度も獲れていない。まさに因縁の魚。それを、糸を垂らしてわずか5分で。
そんなカツオを山元船長にさばいていただき、勝負の前の腹ごしらえ。
腹が膨れ、いよいよ本番。仕掛けのあるポイントへ。
レッドモンスターがかかっているかどうかの確認の方法は「船が近づくとスクリューの振動が釣り糸を通しておっぱいに伝わって、レッドモンスターがその振動にびっくりして、旗についている浮きが揺れる」
まずは、シンタローの「金ぱい」に近づいてみるが、浮きの変化は見られず。
「まだチャンスある」と、ロケ時間ギリギリまで置くことに。
次の城島の「エギ3兄弟」は、「あっ!ちょっと沈んだ!?」
船が旗の横を通ると、片方の浮きだけが引っ張られるように海の中へ。
「かかっててくれよ、エギ3兄弟」と願いを込めて引き上げ。
ローラーで15分巻き続け、船の真下まで来た獲物を確実に引き上げるため、残り50mは人力で。
釣り上げたのは、2匹のレッドモンスター!
レッドモンスターの正式名は、ソデイカ。
足の吸盤の横に、袖がついており、この袖をフィンのように振って泳ぐことからソデイカの名が。
飛行機の尾翼のように体のバランスをとることができる。
この巨大なソデイカは、1.5㎜ほどの卵から生まれ、生まれたては米粒より小さいが、プランクトンを食べてぐんぐん成長し、半年後には、1mを超える大人のイカになる。
城島の「エギ3兄弟」にかかっていたソデイカは、スミを何度も吐き、元気いっぱいだが、大きさは63㎝とソデイカのサイズとしては小さい方。「これで小さい方だもんな…」
ソデイカはデカくなればなるほどうまくなる。こいつの2倍、1m超えが本当のレッドモンスター。
そんなデカいやつの当たりがあったのは、桝の「ピンキースレイヤーズ」。
全員墨まみれになりながら引き上げたのは、130㎝の特大サイズ!「このサイズならめっちゃ美味しい!」
しかし、もっと大きいヤツが!それは、シンタローの「金ぱい」に!
サイズはこの日最もデカい、140㎝!「金ぱい来ましたね!」
海の底でゴミとなっていた仕掛けを使った手作りおっぱいで、デッカいレッドモンスターをゲット!
この日、釣り上げたのは、計8匹でおよそ90㎏のソデイカ。
これをもって港に戻ると、男たちを待っていたのは大学の仕事で漁に参加できなかった桝。
その成果を桝に見せると…「こんなにデカいの!?新春早々やりましたね!大収穫じゃないですか!」
ソデイカは、大きすぎて大味のイメージから、その昔はシーフードミックスに使われ、ソデイカとは言わず、ただのイカとして売られていた。それが最近ではうまさが知られ、堂々とソデイカ名前で売られるように。
そこで、「味の調査ですね」まずは、獲れたてのソデイカを刺身で。
内臓を取り除き、身をさばき、皮を剥いで一口大に切る。鹿児島名物の黒糖醤油につけて頂くと…
「イカ…ですよね?」「食感はあるんだけど味が…」「サクサクしてる」
イカの旨味がなく、その食感は固めに作った寒天のよう。
実はソデイカは、釣りたてには味がほとんどなく、その旨さを引き出すためには冷凍が必要。
冷凍すると身の中の水分が膨張し細胞膜が壊れ、甘みと旨みが溶け出し、解凍するとさらに柔らかくなる。
そこで、せっかくだからと船長がご好意で、獲れたてと出荷用に一週間前から凍らしていた2匹を交換。
島の海水で2時間解凍し、皮を剥ぐ。釣りたては固かったのが、冷凍解凍させると身はねっとりと。
そしてその身をサクに。「せっかくなので、縦に切ってイカそうめんみたいにして」
イカの筋肉の繊維は横方向に走っているため、筋肉を断ち切るように縦に切ると、柔らかく、断面からは旨味が溢れ出す。一方筋肉に沿って横に切れば、プリプリなままイカならではの歯応えが。
こうして出来上がったのが、幅2.5cmのソデイカきしめん。
沖永良部島の完熟シークワーサーをしぼってかけ、黒糖醤油につけて頂く。
「むちゃくちゃ美味しい」「とろける!」「モンスターが天使に化けた」
焼く・煮る・揚げる、なんでもござれ!なソデイカ。それを使って城島が作りたかったのが、子供のころから祭が大好きで良く食べていたイカの丸焼き。それをレッドモンスター丸々1匹で!!
胴体に切れ目を入れて、網で豪快に焼く!胴体だけではなくゲソも。
そのゲソの吸盤には、角質環という歯のような環があり、それを使って獲物などを捕まえる。
すると大学の先生でもある桝が、「この角質環を使ったプラスチックが開発された」と語る。
アメリカ・ペンシルベニア州立大学の研究している、角質環のタンパク質で作るプラスチックは、強度が強いだけでなく、柔軟性に優れ、しかも自然に還るので、環境にも非常に優しいという。
じっくり1時間焼き上げたところで、ニンニク、醤油、みりん、黒糖焼酎などで作った特製ピリ辛ソースをかけ、さらにバターを乗せて焼き、人数分にカットしたら、ソデイカ焼きの完成!
城島の夢、巨大イカ焼き。その食べ方は豪快にかぶりつき!
「これこれ!柔らか!フワッとしてて、旨味がスゴイ!」「めちゃくちゃ美味い!」
そして、本日のメインディッシュは「例のやつですね、バーガー」「DASH海岸と言えばの料理ですからね」
これまで、でっかいヤツが採れたら必ず作って来たのが、ハンバーガー。
それを深海のレッドモンスターで!その具は、今大人気のイカメンチ。
ソデイカをみじん切りにした後すり身にして、沖永良部島名産の生キクラゲ、ショウガ、玉ねぎ、卵、パン粉、胡椒、ゲソのぶつぎりを加えて良く練る。
それをパン粉にまぶし、160℃の油でじっくりと揚げてソデイカメンチに。
そして、大のタルタルソース好きの木村さんがタルタルソースづくり。
刻んで使うのは、「よっちゃんのパパイヤ漬け」。
沖永良部島にある『青幻の郷』というお店の店主の芳子さん事よっちゃんが漬けたパパイヤ漬け。
揚げたソデイカメンチをバンズで挟み、たっぷりのタルタルソースをかけて、ソデイカメンチカツバーガーの完成!「これぞDASH海岸だ!」
高さ15cmのメインディッシュも豪快にかぶりつき!!
「優勝!」「これ本当美味しい!」「ソデイカの粘り気の強さ、コリコリ感がいい」
そして、新年一発目のお約束も。
「また次、沖“永良部"島来たら、何のロケを“選ぶ"かって言ったら“ソデイカ"でしょう!“そうでいいか"?」
「今年もいい年になりそうですね」「出だしが好調ですね」と締めたところで、急いで撤収作業へ…。
スタッフは思った。「今年もきっと押しまくる」と。