ピッチングを見ていること20分、最初に異変に気付いたのは眞彦君だった。 眞彦「右で投げている・・・。」 なんと!さっきまで左で投げていた投手が、今度は右で左と同じくらい上手く 投げていた。 唖然とした太一は、一言 太一「すげえ!」 と言ったまま開いた口がふさがらない。
実はこの投手、一時期プロでも話題になった選手でした。 近田 豊年 昭和40年 12月12日(38歳) 「左右投左打ち」のスイッチピッチャーとして知られ、グラブは特製の左右両用6本指グラブを使用する。 また当時、右の下手投げはワンポイント、左のストレートは威力ある速球派と言われていた。 近田投手は、子供のころ一人で壁を相手に練習することが多かったため、飽きたときには元々利き手だった左だけでなく右手でも練習するようになったのが両投げのきっかけだという。
そこで、両投げと呼ばれた近田投手の球速を測ってみると、左投げ・・・121km、右投げ・・・119kmとその差はほとんどない。 せっかくなら、近田さんに両投げになるためのコツを教わりたい。 話を聞くと、右投げから左投げに転向してプロでもすばらしい成績を残した大投手がいるという。 それならその投手にぜひ会いたいと、球場で待ち合わせをしてその場所に向かう。