それは、媒染と呼ばれる作業。
染まりやすく、色落ちしないように、アルミなどの金属イオンを染み込ませ色素と結合させる事により、色が定着、発色も促す。
その媒染の為の材料は、里山の麓にあったツバキの仲間のサザンカ。
サザンカの葉や枝には、アルミニウム成分が多く含まれている。
燃やし、その後、90℃のお湯に上灰を入れ沈殿させ、上澄み液を媒染液とする。

この媒染液に糸を浸け、弱火で30分程熱して、冷ましたら、アカネの染料液に浸す。
松岡「いい色だよ。浸けて一瞬でオレンジ色になった」
続いて、コブナグサの染料にも浸す。
そして、再び弱火にかけ、繊維の中のアルミイオンと色素との結合を促し、冷ます。
その染め具合を確かめてみると…。
むらなく染め上がり、優しい草木染めの色合いとなった。
達也「色が映えるなあ」
松岡「これで赤・黄色はOKだね」

残るは、緑色。
取り出したのは、木酢液に錆びた鉄の釘を入れて煮込み、1週間置いた木酢酸鉄。
つまり、釘の鉄分を使った媒染。
黄色に染めた毛糸の中に2、3滴加えるだけとの事だが、
松岡「まだ変わる気配はないなあ」
熱を加えて10分程すると、色が徐々に変化し、さらに10分待つと、渋い緑色に。
こうして草木で染めた赤・黄色・緑の毛糸が完成。
松岡「村にあったもので染まってる!」
もとの毛糸の色の白が加わり、セーターを編む為に毛糸は揃った。
城島の誕生日までは、あと1か月半。間に合うか?
達也「もうちょっとだよ」