10月6日

井戸を掘っていると、いろいろなものに出会います。
まず、最初は畑のような土ですが、ちょっと掘ると砂に変わり、やがて粘土へ。そして、また砂が出てきます。
ただでは動かない巨石にぶつかることもありました。何とか、砕いて取り出しましたが、スコップを当てるのも緊張します。

井戸といえば、「井の中の蛙」ということわざがありますが、掘っていたら、ことわざの通りに、かえるがいたこともありました。このかえるは、茶色い大きなかえるです。
ただ、ことわざのイメージからすると堂々としていそうなものですが、この茶色のかえるは私が近寄るとあわてふためいて、高い空を見上げて跳ねて逃げようとしました。
外に出たそうだったので逃がしましたが、かえるにもこわがりなものや頑固なものなど、いろいろといるようです。


大地との格闘、井戸掘りは、正直、肉体的にかなり厳しいものではあるのですが、その中でのたのしみは、やっぱりこの、次に何に出会うかわからない、ということだと思います。
もっとも出会ってありがたいのは、もちろん水です。水は、巨石を克服したあと、しみ出るように、じわじわと出てきました。


そういえば、犬に水脈をかぎつける力があるのかはわかりませんが、今、井戸を掘っている場所というのは、北登がよくやってきては、地面をくんくんとかぎつけていた場所です。
そして、ちょうど木陰で、近くには小川が流れ、井戸をつくるのには絶好の場所。
うれしい充実を覚える深い、深い穴から空を見ると、正方形の土留めがフレームとなって、真っ青な空、左隅にみずみずしい緑の葉、そして、木製の味わい深い滑車と、美しいものです。
この井戸づくり。
秋も深まるこのごろですが、まだまだつづきます。






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