やわらかな風を受け、じんわりとあったかい太陽を浴びながら、僕は古民家の縁側にいる。ここに座っていると、DASH村の春をいっぺんに感じることができる。
分厚く積もっていた雪が山裾の影に追いやられ、だんだん村全体が緑色を帯びてきた。そこから黄色や青色の花も咲き、色づき始める。冬に凍って動かなかった水車も、今では「ザッバーン」と景気のよい音をたてて回転している。目を閉じてもいろんな音が春を教えてくれます。


3月に誕生した2頭の仔やぎたちもスクスク成長し、小屋の隙間から脱走しては猛スピードで走っています。それを見守るマサヨは、とても心配そう。マサヨが小屋の中から鳴いてみても、仔やぎたちはその都度ピタッと止まるだけで、また走り回る。周りに見えるもの、触れるものがどんどん広がり、楽しくてしょうがないという感じ。見ている僕まで心が躍ってきます。


そんな仔やぎたちの姿を見て春を知ったのか、田んぼに産みつけられていた蛙の卵がオタマジャクシとなりました。朝、僕が発見したときは、田んぼの表面に薄い氷が張っていたのですが、その下で元気に尾を振りながら泳いでいるオタマジャクシ。
冷たい水の中でも、氷の上の春を喜んでいるみたいでした。


3年程前は荒れ果てた土地だったDASH村。
それが今、耕され、田となり、畑となり、家が建ち、やぎや犬、そしてアイガモたちが住んでいます。多くの方々の力が今のDASH村をつくり上げました。
そこに今、僕がいます。自分の目で、耳で、そして肌でDASH村を感じています。


ますます伸びゆく村に夢と希望が膨らむと同時に、この村をしっかりと守っていかなくては、という責任をひしひしと感じ、少し不安も思っていたときのことでした。
そんな僕に昭雄さんが「あせっててもしょーがねぇ、最初っからできるやつはいねーよぉ」と一言。

本当にありがたい一言でした。ここで日々の生活を送りながら一つ一つを学び、経験を積んでいくしかない。そして、いつか清さんのように、新たな自分を発見し、磨き上げてみたい。村を見つめ、発見したこと、感じたことなどを僕なりに精いっぱい、見て下さっている方々へ伝えていきたいと思っています。






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