田んぼと畑の間の道を抜け、水車の横の坂をのぼり、炭小屋まで走る。そこで折り返して、果樹園の前を通って鴨小屋へ。これが北登の散歩コースだ。いつも陽気な合鴨たちに「ガァガァガァ」と挨拶されたあと、古民家へと戻る。北登はぐいぐいと僕の前を進み、毎回北登に村中を案内されているみたいです。



今週はとてもよい天気が続いて、北登は機嫌がよかったのか普段あまり足を運ばない古民家の裏まで僕を引っ張っていきました。そこには、知らぬ間に色とりどりの花が顔を出していました。紫色の花。白くて小さな花。黄色いタンポポ。また、そのまわりには、その香りに誘われてひらひらとチョウが舞い、地面には周りの色に見事に調和した蛙がじっと、鮮やかな虫を狙っている。北登のおかげで春の営みをいっぺんに発見することができました。




しかしこれだけ花が咲き、虫たちが姿を現しても、心の底から「春だーーー!!」と喜べないのは、やはり桜が咲いていないから。村の桜はサトザクラという品種で50年ほど前からここにいて、DASH村の移り変わりを見守ってきました。今年のはじめには、村役場の火災もじっと間近で見ていたのです。


火災の被害を受けていたのか?もう寿命なのか?
この老木に心配ごとはたくさんありますが、手入れの甲斐あって、つぼみは丸みをおび、どんどん膨らんできています。それにつれ僕の期待もどんどんどんどん膨らみます。
DASH村でのはじめての春。もちろん村の桜が花開くのを拝むのもはじめて。
散歩の最後に桜の木の下で足を止め、見上げる北登。満開の桜を拝みたいのは北登も同じようです。







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