桜が、ついに満開となりました。
DASH村のほんの一部がピンクに色づいただけなのに、村全体が鮮やかになり、活気づいた気がします。その咲きっぷりはみごとなほど存在感があり、どこにいてもつい見てしまう。


コゲラの夫婦はあれから毎日来ています。ちょんちょんと幹をつたって穴に入っては、数秒後に再び姿を現し、木くずをパラパラと外にかき出す。1回1回少しずつ。単純な作業だけど産まれてくる自分達のヒナを想像してか、その動きは軽快でとても楽しそうだ。村の桜に来て2週間、今ではもうコゲラの姿がすっぽり隠れるほど巣穴は深くなっている。


あさって、5月6日は「立夏」。暦の上ではこの日から夏となる。そういえば最近陽射しがきつく、畝作りなどをしていると汗ばむことも多くなった。
その畝作りですが、単純なようでこれにもちゃんとコツがあります。鍬をふり下ろす時よりも、手前に引っ張る時にグッと力を入れたほうがうまくいくし疲れない。これを知ってから、土を掘り起こすことが快感になってきた。


「畝作りは土に美味い空気を吸わせてやるためにやるんだ」と明雄さんは言います。明雄さんは軽くそう言って笑っていたけど、すごく大事なことを教えてもらった気がする。やり方ではなく、気持ちの部分で。
鍬を置き、僕も大きく深呼吸してみた。
自分が生きるために作物があり、作物が元気に育つために土がある。その土のために自分が今、美味い空気を吸わせてあげている。面白い循環。畝作りだけではなく、苗床を作るための落ち葉拾いも、田んぼの土手作りも、すべて自分に還ってくる作業なんだ。
「保原君少し、日焼けしたんでねえか?」農作業が終わり、納屋に向かっているとき明雄さんにふいにそう言われた。なんだか、ものすごく嬉しくなった。








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