初夏を思わせる陽射し。長袖での作業が暑くなってきました。


北登も散歩に行くと、ちょっとした影を見つけてはすぐ休むようになった。村長のいる水飲み場の影が特にお気に入りのようで、そこに横になるとなかなか動かなくなる。クン、クンと綱を引っ張ってみてもビクともしない。仕方なく僕も北登の横に腰を下ろした。
湧き水のしぶきが風に乗って顔に当たり、なるほど涼しい。水が流れ落ちる音を聞きながら、何気なく片手で北登を撫でていたら毛がゴッソリ抜けたのでびっくりしてしまった。そう言えば、北登は今、夏の毛に生え変わる時期。もう冬用の毛では暑くなったみたいだ。
目の前は、役場跡地。その向こうにこの前、植えた木々が見える。

役場の土台を築くよりも、先に植樹を行ったのには大切な理由があるのです。
植えた木はこれから夏に向けてどんどん生長し、土中に深く張った根が土を留めます。植樹には緑を増やすということだけでなく、役場に裏の斜面の土が崩れてこないようにする役割があるのです。生きた木を植えた方が、丸太で囲って留めるよりも断然、強力なのだそうです。


植樹した木は、エンジュやヒイラギ、クロガネモチなど様々。実際に自分の手で植えてみて、木のいろんな違いに気がついた。同じ緑の葉でも、硬くてツヤのあるものや、大きくて垂れているもの、葉の縁がギザギザになっているものなど、いろんな個性がある。今まで「緑」や「木」の一言で済ましていたような気がするが、一つ一つの木に愛着が湧くようになった。


八木橋、マサヨ、つかさも冬毛が抜け、やけにほっそりして見える。産まれたばかりのこゆきとこてつでさえ、抱っこをした後にたくさんの白い毛が服に付くようになった。寒い季節から暖かい季節、そして緑深い暑い季節へ。そんな日本の四季に、植物だけでなく、動物たちも敏感に反応している。それは、同時に季節を楽しんでいるようにも見え、嬉しくなってしまった。


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