田植えを終えた田んぼ。その綺麗に植えた苗の間を、縦横無尽に駆け回っている者たちがいる。DASH村の米つくりにかかせない力強い仲間、3代目アイガモ隊だ。


 その生命の誕生は、その一瞬一瞬が親の愛情や生き物の本能を感じる、尊く貴重な瞬間。
 卵がかえりそうになると、小屋の小部屋にこもる母鴨。餌を持って行ってもふりむきもせず、じっと卵を温め続け、こちらから近づこうものなら、鼻息を荒くして睨みつけてくる。
 自らの力で卵を割り、外へ出てくる雛たち。小さな鳴き声と共に卵の殻を中から砕き、濡れた体が少しずつ光に触れる。
 生きよう、生かせよう、とする思いがそのまま僕に伝わってくるようだ。

 そんな、稲に隠れてしまうほどの小さな雛たちが、雑草や稲につく虫をついばみながら、田んぼを泳ぎ回っている。彼らはこの世に生まれてまだ2週間あまり。こゆきやこてつの時もそうだったが、成長の速さには驚くばかりだ。


 雨が降ったあと、村を歩くのは楽しい。
 土や植物を混ぜて薄くしたような・・、うまくは言えないけど、そんな雨上がり特有の匂いが村いっぱいに広がっている。その匂いをかぐと、今まで見た雨の情景がふわっと頭の中に浮かんでくる。ゆっくりと這うカタツムリ、咲き群れる紫陽花、大空にかかる虹。この匂い一つで、綺麗なものをたくさん見たような、優しい気持ちになれる。
 雨上がりは晴れた日にはない綺麗な風景もある。
 緑の上に乗っかる透明な球。 水と葉の性質が生んだこの球は、晴れた気分と雨の余韻を感じさせる、独特の情景。少しでも風が吹いたり、指で触れたりすると、すぐに壊れてなくなってしまう綺麗な球。
 なくなってしまうからこそ尊く、美しく感じられる気がします。僕たちの生きるこの世の中には同じような事がたくさんあるのではないでしょうか。


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