8月27日、日が沈んでから、北登と一緒に縁側にいた。夜空を見上げ、待っていたけれど、あいにくの天気で火星を見ることができなかった。しかし、その二日後にはしっかりと橙色の光を確認することが出来た。もしかするとあの橙色の光の中で、火星人が同じようにこっちを見ているかもしれない、などと考えると、火星の存在、宇宙の存在がぐんと接近した気がした。


明日から9月。9月1日は「二百十日」と言い、立春(2月4日)から210日目の日。この日には台風が来ることが多いとされている。そんな台風の時期を前に、何とか屋根と壁が完成した。それによって、役場の印象がゴロっと変わった。壁と屋根というしきりができて、建物の中に1歩踏み入れると、静けさと建物独特の温かみに包まれる。家・・・そう、家が出来上がってきた。
9月に入るとどんどん寒くなる。冬が来る前にやるべきことはまだまだ。


果樹園付近に漂うのは桃の香り。冷夏への対策、鳥への対策、あの手この手を尽くして、見事な桃を収穫することが出来た。特に、鳥から実を守るため、水車の力を利用して作ったオートマチックバケツは、今では村の新しい音として鳴り響いている。


二年目の桃は、生長させたい枝、蕾、実を決めて、養分を集中させるため、それ以外のものを多く切り落とした。まだ緑色の桃をもぎる時などは本当に抵抗があったけれど、おかげで残った実は雨にも風にも負けない、強い桃になった。さらにその結果、数も去年よりも多く収穫できた。勿論、味も格別。しかし、味より何より、自分たちで手間隙かけて作ったものを食べているということが一番嬉しい。


雨や風、鳥、寒さ、いろんな敵から守り抜いて、食べるに至った桃。最高の贅沢でした。

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