「バチバチバチッ!」けたたましい音が迫ってくる。


こゆきとこてつが妙によく鳴くなあ、と思っていた矢先のことだった。西側の里山が小刻みに揺れている。音がものすごい速さで近づいてくる。こゆきとこてつはさらに鳴き、西側から地面の色が濃くなってきた。次の瞬間には体が濡れて、夕立だということが分かった。慌てて作業中の役場に身を隠す。
一瞬にしてDASH村が雨雲に覆われ、一瞬にして村が洗われ、一瞬にして去っていった。一瞬だったのに、村の所々に水溜りができ、随分長い間降っていたような雨上がりの景色。いち早く夕立に気付いたこゆきとこてつは、そのあと何もなかったかのように落ち着いているけれど、僕と北登はあまりの迫力に唖然としてしまった。
古民家の茅葺き屋根から落ちる滴の向こうには、もう、雨雲が去った青空が広がっていた。


まだまだ暑く、夕立も来る秋のDASH村だけど、夜景は既に秋真っ只中と言った感じ。先週半分だった月も今週だんだん丸くなり、11日、15夜にはしっかりと真ん丸い大きな満月になった。目を凝らし、満月を見てみると、ウサギは見えないけれど、クレーターが見える。そして、背後には薄っすらと僕の影も見える。ここからは見えない太陽が月を照らし、その月が僕を照らしている。月からにじみ出た光が、じわじわ僕の体にしみてきた。きっとたくさんの人が見ている月だけど、その時は、月と僕の二人だけで向き合っているような感覚になった。

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