つかさとみのりはまだまだ他人行儀。僕にできる事といったらみのりをDASH村の環境に慣れさせる事ぐらい。そういうわけで、北登の散歩の後は、みのりと散歩している。気まぐれではあるけれど、なんとなく行き先を把握している北登に対して、見るもの全てに興味を示すみのり。低い視線をさらに低くしたり、首を伸ばして遠くを見たり、なかなか先に進まない。道端に生える緑、僕にとっては一言で雑草でも、みのりにとってはご馳走のジャングルのようなもの。気になる味のものがあれば、気になる虫もいる。ひとつひとつを確かめて、ゆっくりじっくり進む。散歩するのも、DASH村に慣れること自体も、まだまだ時間がかかりそう。


みのりも、北登も興味を示したこのイガイガ。みのりは危険を察知したのか、寸前のところで近づこうとしない。北登はどうしても衝動を抑えられず、ゆっくり鼻先から近づき、近づき過ぎてイガイガにしてやられる。僕が興味あるのは、イガイガでなくその中の栗の実のほう。イガイガの中から仲良く三つ、暖かそうに身を寄せているのが見える。イガイガに守られて育った実は茶色い光沢があり、食べ頃だよと囁いているよう。そんな囁きに耳を傾けながら大量の栗を拾った。


栗の木のすぐそばにある柿の木。近くで見てはっとした。実がたくさんぶら下がっている。驚いたのは柿の実が驚くほどなっていたことではなく。近くに来ないと気付かなかったということ。遠目では背景の紅葉色と同化していた。
勢いよく深まるDASH村の秋。ゆっくりじっくり堪能しないと、見逃してしまう風景もしばしばある。


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