自分達で家を建てる。僕にとって初めての計画が達成へと近づいている。土壁はすっかりしっかり乾燥して、以前の役場の面影が甦ってきた。床の下には炭を入れた袋を敷いて除湿効果を向上させたり、前にはなかった工夫を多く取り込んでいる。以前よりも、かなり居心地の良さそうな役場だけれど、完成まではあと1歩およんでいない。


その、あと1歩はDASH村の土で、DASH村の炭窯で1から作ることとなった瓦。どんどん出てくる見たことのない道具、そして困難な作業に苦戦し、そして乾燥が大事な瓦作りなのに降り続く長雨のためになかなか進まない。ほとんどすべての家の屋根に、何百枚、何千枚も敷かれている瓦だけど、その中の1枚をつくることがこれほど大変なことだとは思いもしなかった。この1枚が役場を雨や雪から凌いでくれると思うと、「よろしくお願いします」という気持ちになる。そんな思いを込めて作っていると、重ねてチョップで割るなんて間違えても出来ないと思った。


炭窯へと上がる坂道の随所で見られる裸の樹木。鮮やかで煌びやかな紅葉は、葉が間もなく散りゆくというあかし。先週、あれほど華麗に彩った紅葉はもう今週には残らない。そして、今週美しい紅葉も来週にはおそらく残らない。こうして里山からは色彩が消えてゆく。色彩の消えた部分は、ほんの少し冬の姿を思わせる。11月8日は立冬だった。まだまだ深い秋だけど、密かに冬は立ち上がろうとしている。

前の週 次の週