DASH村の隅っこで、心地良い音色を奏でているシシオドシ。元々、鳥獣を田畑から追い払うために作られたらしいけれど、逆に猪も腰を据えて聞き入ってしまうのではないかと思うほどの音色。裸の里山に、濃い青空に、響き渡っている。


毎回のことながら、明雄さんの持つ知恵や技には本当に感服する。シシオドシを見ながら、感心していると、「大したことじゃねぇよ、誰でも出来るよ」と明雄さんは笑う。シシオドシの音を聞きながら、弾ける水しぶきを見ながら、僕は「これが先人たちの常識であったのではないか?」と考えた。冷害、猪・・・いろんな災害があるけれど、先人たちは、これらを克服しなければ、その年に食べるものがなくなってしまう。そうであるからこそ、何年もの時間を経ても、変わらず親から子へ、年配者から若者へと受け継がれてきた。
その大事な知恵と技に僕は今後もさらに触れ、その伝承者の1人となりたいと思った。


木から落ち、風に吹かれた木の葉は、各々の場所で土にかえる決意をともに、じっと留まるようになった。そこは大抵、木のふもとの少し湿り気のあるところ。それが遠目では、いろんな種類の葉が混じって、木に付いているときよりも均等で、まるで貼り絵の様。これらの敷紅葉に次に落ちるのは雨だろうか、雪だろうか。明日から師走。そんな時期だ。


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