道端に咲く花も、土手に咲く花も、いつの間にか姿を消している。あれほどうるさかった蛙も、美しい鳴き声を聴かせてくれていた虫たちも最近はとんと見なくなった。風景があまり変わらない都会ではあまり気にならなかった「冬」の季節の寂しさがここDASH村ではひしひしと感じる。しかし、見た目には少々寂しくても、きっと季節を彩った花たちは土へとかえり、虫や蛙たちは土の下で眠っている。意外と楽しげに春を待っているのかもしれない。


散歩中の北登は今まで以上に村中をくまなく嗅ぎ回る。突如として、道端で立ち止まったり、急に落ち葉の中に顔を突っ込んだりする。そこに気になるものが隠れているのか、美味しいものがあるのか、まだ猪を警戒しているのかは、分からないけれど、そういった姿は、とても機嫌が良いように見える。もしかすると北登はこの寒さに、もうすぐあれがやってくる、と思って嬉しくならずにはいられなかったのかもしれない。
12月7日、暦では大雪。文字通り、今度は雪が大なる時期であるけれど、DASH村は初雪も未だ降っていない。時折空を見上げる北登は、何かをねだっているようにも見える。


北登だけではなく、八木橋一家も、合鴨たちも、人には分からない何かで、冬を各々で満喫しているかもしれない。僕は、目に見えることばかり気にしていたけれど、もっと違うところで感じるようにすると、今以上に自然と共に暮らすことが楽しくなるかもしれないと思った。


今夜はやけに冷える。 もしかすると、明日は雪かもしれない。

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