今週、DASH村に、ついに初雪が降った。
いつもより冷え込んだ日の昼間、冷たい雨が降り、その後、さらに寒気が村を包んだ。あまりの寒さに、僕もそんな気がしたけれど、明雄さんの「今日は来るなぁ」の一言で、確信した。
この雨は雪に変わる。
そう思ってまもなく、落ちてくる雨の速度がやわらいできた気がして地面に目をやると、小さな白い粒が落ちては溶けて、土へと吸い込まれていった。遠目からは、雨とも見える小さな雪だったけれど、雪に間違いない。すぐさま北登を連れて村中を駆け回った。たかが雪かもしれないけれど、僕と北登は不思議なくらい気持ちが高揚していた。


なおも降り続く雪を見ていると、少しだけだけど、粒が大きくなるのが分かった。少し大きな粒はさらにゆっくりと時間をかけて天から降りてきて、北登の体へと落ちた。茶色い毛に絡まり、北登の体温に触れずに残った雪を見てみると、綺麗な結晶が見えた。実際に結晶を見るのは初めてで、肉眼で見られるものだとは思っていなかった。一つずつ目を凝らして見ると、それぞれ微妙に違う形をしている。駆け回った時とはうって変わって、この世に二つとない結晶一つ一つの美しさに魅せられ、しみじみと気分が高揚した。


この小さな初雪を知り、合鴨たちは池へと確認のダイヴ。しかし、残念ながら池は未だ凍っていない。
 小さな雪は、翌日の朝まで降ったり止んだりしたようで、古民家や、水車小屋の屋根には薄く白く、積もっていた。何メートルも積もると今度は作物や建物にも影響しそうで色々厄介なのだけど、僕は秘かにそれを願っている。おそらく北登も合鴨たちも同じ事を考えていると思う。


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