連日の寒さが伝わる水車。普段見ることの出来ない水の流れが、目の前で止まって見えているよう。地面に伸びる氷柱でさえ不思議なのに、粒状に凍る水などは、正に神秘的。そして、流れてくる山からの水は、動かない水車へとぶつかり、その神秘的な氷をもっと大きくする。水車小屋の見せる神秘はその形と、そのあたりの温度にもある。崖際にある水車小屋は、日中であっても日当たりが悪く、氷と流れくる水のせいであたりよりも一段と寒い。これが夏なら心地の良い居場所となるけれど、今の季節では寒さの厳しい酷寒の地となる。一見綺麗で芸術的だとも見える水車小屋だけど、その寒さを知る僕には、鬼が島の様にも見えてしまう。



 鬼が島への探検はまだ難しい仔やぎ。しかし、前足後ろ足がしっかりとしてきて、耳も序々に横に立ってきた。そして、時折マサヨのまねをして、敷いてある藁をかじる素振りも見せ始めた。と思いきや、よく見てみると、しっかり噛んで食べていた。指を差し出し、くわえさせてみると、納得の歯と顎の力をしていた。噛むことができず、なめるだけだった一週間前に比べて急成長を遂げている。こゆきとこてつの時も成長の早さには驚かされたけれど、また何度も驚かされそうだ。
 競争相手のいない仔やぎ。真似るものがマサヨしかいなくて、むしろ早く成長するかもしれない。




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