ここへ腰を下ろすと、その後必ずすぐに横になってしまう。
 役場内にある六畳の畳の間、ここには田んぼの隣で栽培されたい草がぎっしり詰まっている。独特の温もりと馴染みある香り、そして柔らかい踏み心地。今まで板の間で生活していたこともあり、畳の有難さはとても身に沁みた。畳の間にうつぶせになり、頬を畳に擦り付けると、畳の良さが一遍に全てを堪能できて、さらに落ち着き、そして睡魔に襲われる。ウトウトしながら、自分たちで栽培し、収穫し、一本一本織り、縫い付けて、畳を作り上げたその空間にいることを想うと、そのウトウトもさらに心地良いものになってくる。
 DASH村の畳は個性豊か。長いい草が一本飛び出ているものや、織り目が互い違いになっているものや、しっかりとい草が詰まっていて、表面が滑らかなもの。六枚それぞれ全く別の顔を持っている。そして、その表情を見比べてみると、織った順番がはっきりと分かる。やはり最初に織った畳表は、ところどころに失敗した跡が残り、最後に織ったものは、殆ど失敗の跡がない。個性豊かなこの六畳からは、畳づくりの上達過程も見て取れる。



 冬至を過ぎて一ヶ月、だいぶ日が長くなった。しかし、太陽が長い間顔を出していても、厳しい寒さはますます深まる一方。日が長くなると、暖かくなりそうな気がするけれど、自然はそんなに甘くは無い。白い雪はDASH村を覆ったままで、今週は一度も土色が見られなかった。もしかするとこのまま春まで雪は溶けないかもしれない。実際はまだ遠い春。暖かい畳の部屋から村を見渡していると、春がちょっと近づいた錯覚に陥る。




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