晴天が続いた今週、数日前の足跡も残ったままで、村を覆う雪も少し薄くなり、古民家の屋根から垂れる氷柱もいつの間にか姿を消した。合鴨たちの溜め池はどうかと見てみると、少し水っぽくなっているけれど、相変わらずスケートは楽しめている様子。池へと渡した板の上で滑ったり、みんなに追いつこうと走って滑ったり、それにつられて滑ったり。そして、滑った後は必ずこける。



 合鴨たちのこける時の慌てっぷりと、その後の冷静を装った姿は、スケートと言うより、ただ思わぬところで滑って転んでしまっただけのようにも見える。この行動を「スケート」と名付けてしまっているけれど、人間のするスケートとはだいぶ違う。けれど、スケートではないにしろ、人間も同じような行動をすることがある。わざわざ凍った地面の上で、不自然な足踏みをしたり、足を前後に滑らせてみたり、走ってきてその上で急停止してみたり。心のどこかで、豪快に転びたいと願いながら、そうなるまで時が過ぎるのも忘れて、凍った地面の上で遊ぶことがある。それを考えると、滑って転ぶ合鴨たちも、それが故意であろうと無かろうと、スーッと滑る滑走感と、転ぶ一瞬のフワっとする浮遊感を味わい、楽しんでいるのだろうと思った。そして、転んではグアッグアッ鳴くのも、お互いを笑い合っているようで、いっそう賑やかで、いっそう和やかに感じた。



 今週、そんな合鴨たちに、僕は酷いことをしてしまった。好奇心から、凍った池に片足をのせてみた時、分厚いと思っていた氷はいとも簡単にひびが入ってしまった。池の一角が欠けて、合鴨たちはひんしゅくの表情。合鴨たちと僕の関係にもひびが入った。
 何日かすればまた凍って元通りになるだろう、と思っていたけれど、今日から如月で、三日後の2月4日は立春。暦の上ではもう春が立つらしい。合鴨たちと僕の関係は修復されるのか。



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