ちょうど今のような時期を「光の春」というらしい。気温は冬でも、日差しは春、と言う意味。確かに日が伸びるにつれ、昼間の日差しは強くなり、冬とは思えないほど空は明るい。しかし、そんな光の下でも確かに春とは思えない寒さ。明るい空の下、人はまだ厚着、そんな光景が「光の春」と言えそうだ。光の春前線は、今どのあたりだろうか?


 日が落ちると光の春が嘘だったかのような寒い夜がくる。寒い夜だからこそ、囲炉裏にぶら下がる魚、その下にぶら下がる鍋がとても暖かい。役場の自在鉤は、手作りの温かみもあり、よりいっそう暖く、心も和む。


 囲炉裏にあたるといつも目に入ってくる自在鉤。みんな同じことを思うかもしれないけれど、本当に良く考えて作られてある。自分たちで、つくってみて、初めてその構造が理解できた。見た目はシンプルなのに、鍋をぶら下げ、さらに上下に動き、火の調整が出来る優れもの。もし自分が、鍋の火の調節をしたいと思ったら、どんな工夫をして、どんな形のものを作っただろうか? こんな立派な代物ではないことは確かだと思う。横木の部分は、魚のほか、ひょうたんや、扇型のものもあり、魚の場合は、水の神とされ、縁起も良い。横木だけでなく、自在鉤そのものを見て、こんなにも暖かい形をしていて良かったとつくづく思う。


 先日初めて顔を出したオオイヌノフグリは、雪で見え隠れしながらも、少しずつ増えてきた。増えたといっても、小さな花だから、少し離れて見てみると、咲いているのかどうかも分からなくなる。村を一瞥して、いろんな色が目に飛び込んでくる日は、まだまだ先になりそう。まずは小さいのから、といった感じでDASH村にはオオイヌノフグリがひたむきに咲いている。


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