北登との散歩の途中に、オオイヌノフグリやフキノトウなどの春を告げる野花を見て、一年前のこの時期のことを思い出した。


 一年前、毎日自然に目を向ける生活が始まった。特に、野花を見るのはとても面白く、じっと見つめることが多かった。花というものと密に接したことのなかった僕にとって、その時間はとても貴重で、驚きと感動ばかりの時間だった。毎日顔を合わせることで、日に日に変化する表情が見て取れ、花も生きているということを知った。花に対して、観賞用や贈り物の印象が強くあった僕には、それだけでも大きな感動があった。言葉にすると少し安っぽく聞こえてしまうけど、「花も生きている」そう強く感じた。伸びたり、縮んだり、広がったり、傾いたり。この当たり前のことが、自然と近くに暮らすことで、素晴らしいことだと分かった。


 一年が経って、DASH村にはまた昨年と同じ野花が咲き始めた。一見それは、昨年の繰り返しの始まりのようにも思えるけれど、そうではない。数や場所が一年前とは微妙に違っている。オオイヌノフグリやフキノトウが、日当たりの良い場所に集まって咲いている姿は、まるで今までの経験を活かしているかのよう。花はしっかり覚えている。今年も何か学ぶのだろうか?


 地球が太陽の周り一周する間に、僕は村人としてどれだけ成長できただろうか?僕こそ昨年の繰り返しかもしれない。もうすぐ畑を耕し、種を植える季節になる。僕の体はしっかり覚えているだろうか?


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