春の七草のひとつで知られるナズナ。DASH村では田んぼのまわりを中心に咲き始めた。
 ナズナは、平たい三角形の実が三味線のバチに似ていることから、ペンペングサという別称も持っている。よく見てみると、三角形の実はハート型で、とてもかわいらしい。そんな愛嬌を持つナズナのすぐ横で、綺麗な白い花を見つけた。初めて見る花だと思ったけれど、ナズナのてっぺんについている花と同じもの。一見印象の違う別の花のようだけど、まだ茎が伸びていないナズナだった。僕はハート型の実ばかりに目がいっていて、花をしっかり見ていなかった。確かに実の形は、おもしろく、愛嬌があるけれど、白い花だけでもとても綺麗だった。そして、よく見てみると、一箇所に集まって狭そうに咲くナズナの花もとても愛嬌があることに気付いた。


 ナズナが囲む田んぼにも、かわいらしいものがある。
雪が溶けて顔を出したのは、稲の切り株。田んぼの端に立ち、田んぼ全体を見てみると、切り株がまだしっかり整列している。田植えの時期からずっと列を乱さず並んでいるこの姿にもまた愛嬌がある。
しかし、全体ではなく切り株ひとつひとつを見ると、冬を越えて少し疲れたような表情に見える。それは、愛嬌と言うには少し失礼で、大人の風格、と言えそうな表情だった。


もうすぐ四月。田んぼで、畑で、また新しい物語が始まる時期だ。


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