暖かくなった池の中をスイスイと泳ぐ三代目アイガモ隊。あんなに小さな卵の中にいたとは思えないほど大きく成長した。いっぱい食べて口ばしが大きくなり、たくさん走って泳いで足も大きくなり、いつもバタバタして羽も大きくなった。
 産まれたときの何倍も大きくなり、みんな立派な体つきになったけれど、産まれたときから変わらないこともある。


 お尻を振りながら歩いたり走ったりする姿、ご飯に群がり必死になって食べる姿。これらの行動は、ちいさな頃とほとんど変わらない。さらに変わりないのは、みんな仲が良いこと。十三羽は産まれたときからずっと仲良しで、小さな頃から田んぼでも池でも小屋の中でもみんな一緒に行動して、走るときも泳ぐときも一緒。こんなに一緒にいて喧嘩しないのかな、と思って各々の表情をじっくり見てみる。しかし、特ににらみ合ったり、突き合ったり、ということはない。お互い当然のように顔を合わせたり、すれ違ったりする。まるで十三羽がひとつの家族のよう。家族だと思えば、いつも一緒で行動も一緒であることと、変わらず仲良しなことが納得できる。


 十三羽の一家はそろそろ次の世代を産む時期。ずっとこども扱いしてきたけれど、かぜまる、くろまるら六羽の雄はお父さんになり、こがねら七羽の雌はお母さんになる。卵から産まれたと思えば、今度はその卵を産む。立派に成長したこと、四代目が産まれることはとても嬉しいけれど、しっかり卵を温められるのだろうか、少し心配だ。


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