遂に焼き上がり、完成した鬼瓦。抱えている時はあんなに大きかった鬼瓦も、役場の屋根に乗せて見上げてみるととても小さく見える。でも、小さくてもあるとないでは役場の見た目が全然違う。鬼瓦があることで、役場全体がますます家らしく、立派になった。鬼瓦は建物のほんの一部だけど、これだけ手間隙かける甲斐がある。完成した村役場を見てそう感じた。



 その鬼瓦よりも高い場所で泳ぐ鯉のぼり。桜が咲いて散ったと思っていたら、もうそんな時期になっていた。
 DASH村の鯉のぼりは、なかなか五つ揃って泳ぐことはなく、大抵下の四つが弱い風に吹かれて絡まり合ったりしている。あまりにもどかしく、長い棒でつついて直そうとするけれど、そう簡単には直らない。諦めて自然に戻るのを待っていると、なんだかそれこそ八木橋一家のように見えてきた。こうめがマサヨにじゃれていたり、つかさとみのりが遊んでいるように見えるし、それを気にせず泳ぐ異様に大きい真鯉も八木橋に見えてくる。五つ綺麗に揃って泳ぐのもいいけど、五つ思い思いに泳ぐ鯉のぼりも面白いと思った。


 五月に入り、村を囲む山々が急に緑色を多く、濃くした。里山に入り、見上げてみると、光る緑色がとても綺麗で、ただでさえ美味しい空気もさらに美味しく感じられる。里山だけでなく、田んぼのまわり、溜め池のまわり、果樹園などいつも見ている場所も少し前よりだいぶ緑が増えていると思う。そして、これから田んぼにも畑にも緑が増えると思うと気持ちが引き締まるとともに、嬉しいとも思う。



 

前の週 次の週