遂に、4代目となる合鴨パトロール隊が誕生。

  一ヶ月程前から急に小屋にこもりっきりになったくろまる。小屋の中に入ってみると、くろまるは口ばしで藁を寄せ集めていた。そして、近寄ると荒い鼻息と、今にも飛び掛ってきそうな目つきで僕を睨みつけ、威嚇した。とても穏やかではない表情に驚いてしまったけれど、僕は卵を産んだこと、そして親になりつつあることが分かって嬉しかった。


 昨年の経験から、卵を産んだ合鴨はその日から急に親らしくなり、しっかり卵を孵化させるということが分かっていた。だから今年は邪魔しないよう少し遠くで見守っていた。ある日小屋の中に入って驚いた。くろまるはもの凄い量の藁を体のまわりに集めていた。前に見た時よりも明らかに多く、くろまるが藁の山の上にのっかっているようだった。産まれてくる子を想う気持ちは分かるけれど、僕は「集め過ぎではないだろうか?」「産まれてきた時にちゃんと息が出来るだろうか?」と心配になった。しかし、そんな心配はしなくて良かった。

そして、雛は誕生した。



 雛は藁の山の後ろから姿を見せた。よく見ると藁とくろまるの体の間からも黄色い毛が見える。そして、元気にピーピー鳴き出して、くろまるの体の上を歩いたり、またくろまるの体の下に潜ったりして、産まれたてとは思えないほど動き回っていた。大きな藁の山はこども部屋としてくろまるがこしらえたに違いない。いまだ近寄ると荒い鼻息で威嚇するくろまるの表情も、誇らしげな表情に見えてきた。



 間も無く田植えの準備が整う。そして、田植えが終わると、四代目合鴨パトロール隊のデビュー戦となる。

 

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