たとえ宣言を聞いても、今が梅雨だとは思えないほど晴天が続く今週の天気。だからといってカエルが出てこないわけではない。六月に入ってからというもの、しっかりとカエルに遭遇し、しっかりと毎回腰を抜かしてしまう。カエルは雨が降らなくたって、自分たちの活動すべき時を知っているようだ。カエルだけでなく、あらゆる生き物は今の季節を知り、自分が活動する時期を知っている。



 しかし、そうでないものもいた。今週はそんな生き物を発見した。
 田んぼの南側の一部に青い小さな花が集まって咲いているのを見つけた。はじめは見たことのない花だと思っていたけれど、しゃがんでよく見てみると見覚えがある花だった。オオイヌノフグリに似ている。しかし、オオイヌノフグリといえば早春に咲く花で、村でも既に目にしなくなっていた花だ。不思議に思っていると、その花のすぐ近くに同じくらいのサイズの白い花が咲いているのが目に入った。よく見てみるとこれにも見覚えがある。ハコベに似ている。しかし、ハコベもオオイヌノフグリ同様、早春に咲き、もう村では咲いていない花だ。早春に咲くはずの花が今、目の前に二つ。しかも村のこの一部分にしか咲いていない。これはつまり、ここだけがまだ早春であるということだ。



 村はもうすっかり夏の装い。しかし、この一部分に二つの花が咲くことで、春が舞い戻ったかのような気がした。今まで季節が花を咲かせ、虫を活発に活動させると考えていた。しかし、花が咲いたり、虫が動き出したりすることでその季節がやってくると考えても良さそうだ。そうすれば、同時期に二つの季節が同居していても不思議ではない。



 

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