里山博士こと守山先生とともに、村の隅々を観察した。


 住人の僕が言うのはおかしいかもしれないけれど、DASH村には想像以上にたくさんの生き物がいた。池、田んぼ、畑、土、空、山・・・。どんなところでも生き物がいた。見渡す限り、視界は命で溢れていた。



 守山先生は、「生き物を増やすには、人間の手を加えなければいけない」と言っていた。今のDASH村の環境は僕たちが生活することで成り立っているらしい。春、田んぼに水を入れればそこはトンボのヤゴやカエルの住処になり、薪をとるために山の木を切ればそこに陽が差し込み、キノコや新しい花が生きられる。自然との共生とは、もともとあったものに手を加えないことではないことが分かった。そして、僕たちが生活するために、自然を使うところが、自然との共生と言えることが分かった。
 便利なモノばかりを頼りにしがちだけど、自然にあるものを頼りにしてみると、両方に利益が生まれる。DASH村は自然を頼りにしてもう四年。その結果、見渡す限り生命で溢れる環境となった。この村では、「発展」という言葉の意味がこういったことを示すのではないかと思った。


 カンカンに晴れた日もあれば、ザーザーに雨が降った日もあった今週は、緑がグングン伸びた。田植えを終えた田んぼでは、綺麗に列をつくった苗が田植えをした時よりも既に長く伸びている。畑では、種を植えた覚えのないところからも緑があらわれた。雑草が作物の養分を奪ってしまったのではないかと心配になったけれど、畑の方も順調に育っていた。花が咲いていた作物は、その花を落として小さな実をつけだした。花が散って少し賑わいを失った畑だけど、またすぐに賑わい始めている。


 

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