役場内に、床の間が完成した。
  今まで畳の上に座ると、障子を開けて外の景色ばかり眺めていたけれど、床の間が出来てからは自然と床の間の方を向いて座るようになった。床の間が出来たことで、役場内に「正面」が出来て「奥」が出来たのだと思う。だから、床の間に背中を向けて座っては態度が大きいような気になり、足を向けて横になっては誰かに叱られそうな気になる。さらには、「皆んなで仲良くDASH村」と大きく掲げてあるだけに、そっちを向かないとなんだか「仲良くしません」と態度で表しているようでもある。


 床の間が完成し、感じたことがもう一つ。
  「床の間をつくろう」と決まってからはじめて辞書で床の間を調べたような僕でも、完成してみるととても懐かしいと思えた。それは母の実家にあるのとよく似ていたからだと思う。床の間について深くは知らなくても、大好きなおじいちゃんおばあちゃんの思い出とともに「こういうものがあったな」と思い出し、懐かしくなった。そして、和室自体が少なくなっている今、こういったものを残すこと、こういったものをつくる技術を残すことは、とても大切なことのように思えた。


 またそれは村づくりの中でほとんどのことが当てはまる。


 そういった意味でも、月曜日のイベントは本当に有意義な時間を過ごせた。先人たちの知恵を身につけるにはまだまだ時間がかかるけれど、今知っていることをもっとたくさんこども達に伝えたいと思った。

 

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