つかさとみのりの子供の名前は「リンダ」。僕は活発で力強い印象を受けるのだけれど、「リンダ」とは、スペイン語で「かわいい」という意味があるらしい。



 響きは力強く、意味はかわいい。そう考えると、さらにいい名前だ。



 産まれて三週間。リンダは小屋から出ると捕まえるのに一苦労するほど元気に走り回る。ダッシュ、ジャンプ、そしてターン。見ていて感心するほど見事に使いこなす。やっと捕まえたと思っても小さな体をひねり、スルっと抜け出す。あまりにも逃げまわるから、相当僕に捕まるのが嫌なのかと思ったけれど、そうでもない。捕まえて、両手で抱いてやると、さっきまで走りまわっていたのが嘘の様にジッとしていて、気持ち良さそうな表情をする。一、二分もそうしていると、リンダの目はトローンとしてくる。腕から伝わってくる呼吸もゆっくりになり、そのまま眠りそうになる。でも放してやると、眠りそうだったのが嘘の様に、また元気に走り回る。

 その名の持つ意味と響きの通り、元気で力強く、かわいらしい子だ。



 そんなリンダの姿は、周りを和ませる。その和みでみんな、日々の作業の疲れも癒されているようだ。世話がやけると言いつつも、もっともっと、僕が捕まえられないくらい元気に走り回って欲しい。そして、これからも腕の中では、かわいらしい顔で眠って欲しい。



 

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