大きな台風は、DASH村の木々も揺らしていった。ただの風なら里山の木も「ザワザワ」といった音を立てて揺れる。しかし、今週の里山は、「ザーーー」と、まるで大きな波のような音を立てて揺れた。
  音だけではない。里山は色も変化した。その時だけは、緑が薄くなった。
  強い風で木の葉が落ちたのではなく、風に吹かれて裏返ったからだ。多くの葉は、風が吹いている間ずっと裏側の薄緑の部分をこちらに見せていた。


 今回の台風は、里山を見ただけでも、音で、色でその大きさが分かる。しかし、そんな巨大な台風ではあったものの、村の作物は無事だった。もちろん無傷とはいかなかったけれど、事前に対策した甲斐もあり、最小限の被害におさえることが出来た。せっかく順調にここまで生長してきた今年の作物。そう簡単にやられてはたまらない。


 台風に気をとられていたら、いつの間にか九月。台風が過ぎて、昼間の暑さはまた勢いを増してきたようにも思うけれど、陽が落ちると随分心地良い温度になる。「秋だなあー」と思う。夜にはスズムシやコオロギ、マツムシなどいろんな虫が鳴く。縁側に座るとそれらもいっそう大きく聞こえて、何だかとてもいい気持ちだ。


 ただ、そんないい気持ちであっても夜にはどうしても心配なことがある。作物を食い荒らす猪だ。今年も既にいくつかの作物がやられている。台風の次は猪。豊作への道はまだまだ遠い。


 

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