最近は近所の人は会うと一番はじめに「今日は暑いな」「今日は寒いな」と言ってくる。何だか外国人のような台詞だけど、確かに最近は暑かったり寒かったりだ。まるで、季節が夏へ向かってよいのか、秋に向かってよいのか、迷っているようだ。


 しかし、気温がそうであっても、DASH村の風景は確実に一歩一歩、秋へと向かっている。緑色で小粒だったイガイガも、今では茶色の大粒となり、真ん中でパックリ割れるようになった。そして、その中には仲良く並ぶ3つの実。こっちも茶色の大粒ばかりで、なんとも愛嬌のある姿でこっちを見ている。まるで「今が食べごろだぞ」と言っているようだ。そのまわりにも無数に落ちているし、10分もそこに立っていると一つぐらいは「カサカサッ、ボト」と木の葉を掻き分けて落ちてくる。確かに食べごろらしい。しかし、「今が食べごろだぞ」と食を促す実とは裏腹に、とげとげしく攻撃的なイガイガ。そのイガイガをある人は、敵から身を守るためだと言っていた。だとすると、敵というのは僕たち人間だろう。そう考えると、栗拾い自体が先祖代々から続く熱き戦いのように思えてくる。栗と人間、今年もまた決戦の季節がやってきた。


 秋へと向かうのは、栗の木のそばにあるヤマザクラも同じだ。 春、桜の花びらを見せ、夏が近づくとともにそれを散らせたヤマザクラ。今度は葉を赤くし、それらを落とし始めた。1枚、また1枚、と落ちていく。ユラユラと葉が地に向かうのは、まさに季節が秋へと向かうようだ。


 秋分が過ぎた。これからはますます夜が長くなり、昼が短くなる。4歳になったとはいえ、まだまだ外で遊びたい北登には、物足りない季節かもしれない。


 

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