春から、田んぼで流してきた苦労が報われる瞬間だった。
 真っ白に輝く新米は、見ているだけでも嬉しくなったり、腹がすいたり、ほっと安心したりする。春からの努力があってこそだと思う。そんな記念すべき新米第一号を箸で口まで運ぶと、米より先に白い湯気が口に入った。なんだか湯気まで美味しく感じてしまう。
遂に今年の新米が口の中に入ると、涙がこぼれそうになった。あまりにも幸せすぎたからだ。自らの汗が白いお米と変わり、それを食べることでお腹を満たし、命をつないでいく・・・。
そういったことが、お米の味や食感や香りなどから言葉ではなく感覚としてドンと伝わってきた。至福の時とは、この時のことを言うのだと思った。


 まだ口にはできないものの、遂に刈り入れることができた長丈米。台風や秋雨で、一時はどうなるかと思ったけれど、乾燥中の長く垂れた稲の先には、しっかりと実の詰まった粒がぎっしり集まっている。あと少しで食べられるようになりそうだけど、食べたときには男米以上に至福を感じられそうな予感がする。


 いつも元気で明るく僕たちを導いてくれる明雄さんが、11月27日に75歳の誕生日を迎えた。申し訳ないくらい頼りになりっぱなしだけれど、もう75歳。早く一人前になって明雄さんの労を減らさねばと思う。とは言いつつ、明雄さんの知っていることを全て自分のものにしようと思ったら、百年くらいかかりそうだ。だから、今までどおり元気で明るく指導してもらいたい。これからもお世話になります。
明雄さん誕生日おめでとうございます!!



 

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