夜空を見上げ「あっ!」とか「おっ!」とか言いながら指折り数えた。五十までは覚えていたけれど、きりがなさそうでそこから数えるのはやめた。流れ星が絶え間なく夜空を駆け抜けていた。


 思い切って田んぼと畑の間のあぜ道に寝転がってみた。すると、星はずっと間近になり、僕の体は夜空に包まれた。時間が過ぎるのもマイナス3度の寒さも忘れ、ずっと流れ星に歓喜していた。


 そうしながら、明雄さんの言っていたことを思い出した。ひとつの星をずっと見ていると、その星が動いているように見えるらしい。ためしに、ひとつをずっと見てみた。 と、さっきまであったまわりの星が見えなくなる。消えるみたいに。たまに、見ているそのひとつも見えなくなる。星が消えたり、現れたり・・・星が動いていた。 ますますいつもと違うところにいるようだった。


 もう一つ、誰かに教わったことを思い出した。流れ星が流れる間に3回願い事を言えばかなうらしい。でも、流れ星が流れるのは一秒もないくらい。一回も言えそうになかった。だから、心の中で言うことにした。 「もっとみたいみたいみたい」 その夜、綺麗な流れ星を数え切れないほど見ることが出来た。


 

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