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「なんてことを!」そう思ったけど、みのりの「何か悪いことした?」という表情に、すぐ「しょうがない」と思わされた。あの新鮮な緑色は、みのりにとって格別美味しそうなものに見えたに違いない。どうせ、フキがもっと生長したら、僕らが食べるだろうし。早いもの勝ちだ。確かにみのりは悪くない。 |
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あの場所にフキがなくなってから、村にまた寒さが戻ってきた。もう3月になると言うのに、まだまだ厳しい寒さ。それと、分厚く残った雪。村を一望しただけだと、春が近いとは思えない風景だ。 | ![]() |
しかし、春を告げたフキが姿を消したからと言って、季節が後戻りするわけもなく、しっかりと春は根付いていた。村を一望しただけでは分からない、ごく小さなもの。それは里山の木々の枝につく小さな膨らみであったり、解けた雪の下から顔をだす小さな青色の花だったり。目を凝らせば、やっぱり春なんだなと思った。 |
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