DASH村に来て、これが三度目の春。

 言ってみれば、DASH村村人三年生。 中学や高校であれば最高学年。生活にもすっかり慣れて、学校にある何気ないものにも愛着が湧き、親しみが出てくる学年だと思う。学校の校舎、教室、グラウンド、黒板、黒板消し、先生、友達。いろんなものの存在が身近になってくる。

 それは、DASH村三年生も同じで、僕もこの村のいろんなものの存在が身近になっている。
  今、村に咲いている花にしても、「綺麗」だとか「美しい」という言葉で誉め称えるのはなんだか手前味噌になる気がするし、北登や、八木橋一家や、アイガモ隊には、「賢い」とか「かわいい」などと言った言葉は、思っても絶対口には出来ない。こんな風に思うのは、より身近に感じている証拠ではないだろうか?




 茅葺屋根の母屋や、水車や、井戸など、僕はこの村に来て初めて見たものがとても多い。それなのに、村人三年生になると、これら全部が本当に近い存在になっていた。

 とても一人前とはいえないけれど、もう三年生。中学や高校で言えば最後の一年。でも、村の三年生はそこが違う。生活には慣れたけれど、卒業という言葉はまだまだ見えてこない。そもそも「生きる」ことを学んでいるのだから当たり前かもしれない。




 

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