今週から4月。DASH村では、ほとんど雪が見られなくなった。

 村を見渡してみても、雪の白色は見当たらない。水車の裏にも、井戸の屋根の上にも。あれだけ残っていた雪が今はもうない。あるのは、茶色い土や、落ち葉や、緑色の草や、ちょっとした青や黄色の花。
 里山を奥へ奥へと歩いていくと、ほんの少しだけ残った雪を見つけた。
 でも「雪」というより、「氷」みたいなもので、降ったばかりのあの白さも、あの柔らかさもない。そして、明日にでもそこから消えてしまいそうな、そんな弱々しい姿でもあった。




 見飽きたと思っていた雪。しかし、実際になくなってしまうと、ちょっと寂しいと感じる。
 冬は雪ばかり。春はその雪がなくなる代わりに、そこから何種類もの草や花が見られ、冬とは打って変わって賑やかになる。
 なのに、雪がなくなるのは、寂しい。

 花を見て春を感じることもあれば、衰弱した雪の姿を見て春を感じることもある。
 春は出会いと別れの季節でもあるから。
 「出会い」の代表として、桜の花との出会いがある。老木の桜。自ら命を削りながら、今年もまた、つぼみを膨らませている。




 

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