アヒル村長やアイガモたちを羨ましく思うほど、日中は暖かくなった。

 この暖かさに誘われて出てきたのは、小さな虫たち。蝶々、バッタ、クモ、トカゲ、アリ、・・・カエル。草や花があるところには、こういった虫たちがどんどん集まるようになった。




 彼らの動きを少しの間観察していると、彼らの動きからどんな表情をしているのか分かる気がする。蝶々は飛ぶのが楽しくてしょうがなくて、ニコニコしている。クモは案外怯えていて、いろんなところに睨みをきかせている。アリはわき目も振らず、ただせっせと歯を食いしばって働いている。 そんな気がして見ていると、とても面白い。
 特にアリの行動は、見ていると時間が過ぎるのを忘れてしまう。巣から出てきてエサを持って帰るだけの行動だけど、何故か見入ってしまう。そして、ひたすらに働き続けるアリの姿に感心させられる。僕がアリだったら、アリ失格だと思った。

 アリの巣が集まる役場裏の斜面は、昨年のそば畑。 まだ何も手をつけていないこの土地から、今年もまたそばの芽が出てきている。
 ピンクの花が咲く貴重な種と言いつつも、結構な数の種を落としてしまっていたらしい。でもこのままにしておいて、収穫できるようになったらどれほど楽だろうか。何もしないで、またあのおいしいそばが食べられたら・・・。アリたちの前では、そんなことを思うこともいけないような気がした。




 

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