つい先日まで、まだ冬の余韻を残すように木の色ばかりが目立っていた里山。でも今週になると、日ごとに木の色は薄れ、代わりに初々しい緑色が目立つようになった。

その緑色はまさに新緑。生まれたての新しい緑色をしていた。陽の光を反射させてではなく、葉自体が光っているようにも見えるほど、瑞々しくて生きる力に溢れていた。

 そして、そんな風に思わせる緑色は、畑の苗床にもある。




 苗床の中のポットからは、毎年育てている作物も今年初挑戦の作物も順調に芽を出し始めている。作物によってその芽の形や大きさは様々だけど、全て同じなのはやっぱり色だ。生まれたての可愛らしさもあるけれど、それと同時に生きる力のようなものを、その色から感じさせられる。こうめやリンダが、生まれてすぐに母の乳を飲みにいくように、この緑色の芽たちも辺りの栄養を自分の力で手繰り寄せ、そして大きくなろうとしているみたいだ。その小さな芽からでも、立派な生きる力を感じられる。

 収穫の季節に実るものは、この小さな芽たちがそうやって自分を大きく生長させた証。そして僕らは、それを食べて生活し、命をつないでいる。モノに溢れる便利な場所で暮らしている時は分かりにくいことだったけれど、ここでは小さな作物の芽がそう教えてくれる。




 

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