桜の花が散ったと思えば、もう梅雨の季節が近くなっていた。

 入梅の前兆か、今週は雨が多く、夜中に雷が鳴る日もあった。

 雨が降ると水遣りの手間が省けるし、ハルジオンやシロツメクサといった野花が勢い良く咲いてくれる。そういった点では、雨にもっと降られても構わない。
 ただ、雨の「ザーザー」という音と競うように大きく聞こえてくる「ゲロゲロ」というカエルの合唱は、構わないとは言えない。




 僕はこのDASH村で、3回目の梅雨の時期を迎えようとしている。3回目ともなれば、さすがに慣れるだろうと思われがちだけど、僕は何の進歩もしていないようだ。
 田んぼやレンコン畑など、カエルが集まりそうな場所は必要以上に近寄らないようにしているし、そういう場所に行く時は捲り上げていた袖を無意識におろしてしまっている。急にカエルが跳んできて僕の腕に着地した時、服の上からの方がまだ耐えられるからだ。
 3回目のこの時期を迎えて思うことは、1回目、2回目の経験を経て、僕はより臆病になってきているということ。情けない話、この季節がなければ・・・と思うこともある。

 でも、そうやって避けていても始まらない。将来、僕に子供ができて一緒に散歩している時、急に茂みからカエルが飛び出してきたらどうしよう。「キャア!!」などと言ったら父親失格になってしまう。子供に追い払ってもらうのも情けない。やはりカエルと触れ合うことは、避けては通れぬ道のようだ。
 出来れば、「これはモリアオガエルと言って・・・」と、カエルを手にとって、子供に教えられるくらいになりたい。母屋の中で雨音に怯えながら、今日もそんな妄想が続く。




 

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