南の地の梅雨明けを聞き、この村の梅雨明けが待ち遠しかった今週。ぽつぽつ降る雨の中、春に植えたヒマワリが花を咲かせた。

 僕の身長よりもはるかに高く背丈を伸ばし、その先に僕の手よりもはるかに大きい花を咲かせている。その高さと、その大きさにも圧倒されるけれど、それよりも村のヒマワリには独特な雰囲気があり、その得体の知れない雰囲気にも圧倒される。晴れの日でなく、こんな雨の日だとなおさらその独特な雰囲気は妙なものに感じられる。

 その独特な雰囲気というものをひも解いてみると、原因のひとつは花びらにあるように思えた。怒ったライオンの毛のようにピンと立ち、元気が良く力強いヒマワリの花びら。他の花のように、繊細で綺麗といった印象があまりないのがこの雰囲気をかもし出している。

 さらに、花の中心部分もかなり独特だ。種がギッシリと詰まった真ん中の部分は、見ていて吸い込まれそうになる。黒い点で埋め尽くされたその部分は、どこか別の世界へとつながっているかのようにも思える。村には下を向いて咲いているヒマワリがあるけれど、その下に行くと何かが起こりそうな予感がするのは、このせいだと思う。




「ライオンのような勢いで、別世界へと連れ去ろうとしている花」

 独特な雰囲気を、こう言い換えるとしっくりとくる。
 ヒマワリにしてみれば、ちっとも嬉しくない言い換えかもしれないけれど、まだ、梅雨の明けない村に咲くヒマワリは、そういった印象がある。

 もしかすると、雨ばかりに降られていると、人は綺麗なものも妙なものに見えてくるのかもしれない。ますます梅雨明けが待ち遠しい。




 

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