気が付けば、また縁側でボーっとしていた。
 今まで気付かなかったけれど、どうやら僕は「縁側」がかなり好きなようだ。

 そして、好きであると同時にとても頼りにしていることにも気が付いた。

 村にはいろんな作物があるけれど、それぞれの作物で扱い方はかなり違ってくる。けれど、それらをいっぺんに様子を見たり作業したりすると、今自分が作業している作物が何なのかが分からなくなったりしてしまう。畑を歩くように田んぼを歩いたり、出来たばかりの小さなトマトの実を触るように出来たばかりの毛のあるスイカを触ってしまったりする。




 でも、作業と作業の間に縁側で一息入れてみるとそんなことはしなくなる。縁側から村を眺めながらボーっとするだけで、さっきやったことと、今からやることがハッキリとしてくる。縁側から見える、青の下の緑に包まれた豊かな畑や田んぼ、そして、聞こえてくる水車の音や鳥の声。縁側に座ると、一度にそれらを感じることが出来て、心がすうっと静まるのかもしれない。縁側は頭と心を切り替えるスイッチのようなもので、とても便利だ。

 縁側は、家の中にいるようで家の外にいるような、不思議な感覚の場所。だから、休みながら働ける。自然と向き合って生活する場所には、とても便利なものだと思う。




 

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