明雄さん、金光さん、猛さん、孝子さん、キヌエさんを招いて開催されたDASH村大運動会。いつも行っている農作業などを種目に、大いに盛り上がった。速く出来れば良いというものではないけれど、こういったかたちで競争してみると意外と闘志を燃やすものだった。
 ベテランの中に一人混じらせてもらった僕も、「速さなら負けないかもしれない」と心のどこかで思っていたし、実際に負けるとかなり悔しかった。何十年ものキャリアの違いがあると分かっていても、競争に負けるのはやっぱり辛いものだ。

 それにしても、僕以外の出場者のみなさんの作業スピードはとてつもない速さだった。畝づくりも、薪割りも、おにぎりづくりも、縄もじりも、全てが僕とは桁違いに速かった。しかも仕上がりは綺麗になっている。 僕が一番驚いたのは薪割り。見たこともない割り方でどんどんわっていき、割られた薪は均等な太さになっている。こればかりは悔しいと思うより先に、どうしたらそうできるのか見て学ぶ方が先にきてしまった。




 運動会という名目で挑戦してみたものの、やはりまだまだ僕なんかは足元にも及ばないことがよく分かった。普段見ているのが全てではなく、あの人たちは僕が見ているよりも思っているよりもはるかに凄い人たちだった。

 「競争なんかしたことねえから今日は疲れちゃったよ。でもやってみると面白いもんだな」明雄さんは最後に笑いながらそう言って軽トラックで帰っていった。




 

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