そこには、緑のない急な斜面の山々が一面にそびえ立っていた。 とても不気味で、そこだけ冷たい風がピューピューとうるさそうで、黒い服を着た老婆の高笑いも響いていそうだった。 僕は思った「魔女。ここには魔女が住んでいる」と。 おとぎ話に出てくる悪い魔女。この山々のどこかで、悪だくみを思いついたり変な薬を混ぜ合わせて実験とかしている。

 そんな場所がDASH村の中に存在する。

   そこまで思わせた場所は、登り窯の脇の里山の林に近いところにあった。 そこは掘った土を置いている場所で、とても地面が柔らかくなっている。さらに、里山の木々がその上空を覆っていて、雨が降った時には葉っぱから落ちた大粒の雫がその柔らかい地面へと落ちる仕組みになっている。そして、柔らかい土は大粒の雫によってそこだけ穴が開き、これが繰り返されて急な山がつくられ、奇妙な雰囲気が出来るようになっている。




 そこに立って見下ろしただけでは奇妙でも何でもないけれど、顔を出来るだけ地面に近づけて見てみると、本当に奇妙な景色が目の前に広がる。見たことがあるものでも視線を落としてみたり、角度を変えるなどして見方を変えてみれば、見たことのないものが見えることがある。 きっとこの村にはまだまだ僕の見たこともないものがたくさんあるのだろう。

 6年目を迎え、多くの生き物が棲み付き、ともに暮らすようになったDASH村。本当にありとあらゆる生物がここに集まり始めている・・・。




 

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