里山で、垂れて伸びる枝の先の葉を触っていた。すると、急にその葉が赤色に変化した。次の瞬間に、その枝の葉は全て赤くなり、次にその木の葉が全て赤くなり、そしてすぐに辺りの木々が真っ赤に染まった。僕が触れた葉を中心に、数秒で村の木々が全て赤く色づいた。里山を風が走るように、赤色が木々を染めながら里山を走ったようだった。

 こんな夢を見るのは初めてだった。自分が気付かないところで、僕は一体何を考えて、何を求めていたのだろう?目を覚ましてからずっとそんなことを考えた。
 夢は、時間が経つと記憶の中からどんどん薄れてゆく。けれどあの真っ赤な村と一瞬で染まってゆく不思議な光景の夢は、色濃く記憶に残っている。さらに、僕はいつの間にかその夢に見た光景を早くみたいと思うようにもなった。




 秋の色づくDASH村を早く見たい。今こうして言葉に出来るけれど、夢を見る前は、言葉に表すことが出来ないくらい心の深いところにあったものなのだろうと思う。
 ここに来て二年半。「自然」というものや、「季節」というものに、今までにない触れ方が出来るようになってきた。

 秋の野の花が咲いたり、山桜が紅葉し始めたり、北登の額にひし形の模様が浮かび上がったり、いろんな場所にいろんな形で訪れる秋。自分の心の奥にもまた、それが訪れていたことを思うと、二年半という月日で僕もようやくここに馴染み始めたのかなと思えた。




 

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